第15回 クルマというシチュエーションで考える「Apple Watch」:“ウェアラブル”の今
AppleがApple Watch用のアプリ開発キット、WatchKitをリリースして以来、さまざまなApple Watch用アプリのデモが公開されている。そうしたものから、Apple Watchを利用するシチュエーションがいろいろと想像できる。
Appleのメディアイベントが2月24日に開催されるのかどうかに注目が集まっている。新型「MacBook Air」と「Apple Watch」がテーマとなることが予測されるからだ。
Apple Watchについては、そのデザインやモデルなどが9月9日のiPhone発表イベントで披露され、11月に公開された「WatchKit」と呼ばれる開発者キットでどのような動作をするのかが明らかになってきた。販売については現在のところ、「349ドルから」という価格と、「4月に出荷」という情報が示されただけだ。
もしも2月24日のイベントが開催され、Apple Watchに関して言及がなされる場合、発売日、予約開始日、そして販売方法、各エディションやバンドの価格なども明らかになる可能性が高い。詳しい話はもう少し待つ必要がありそうだ。
こうした中、一部のVIPアプリ開発者には2月中旬までにApple Watchへの対応を行うよう、Appleから通知があったという報道もあった。イベント開催時にアプリが対応している環境を作り出すための準備としては充分と言えるだろう。
もしもTesla向けのApple Watchアプリがリリースされたら?
Apple Watchがどのように日々の生活に役立つのか。こればかりは装着して数日過ごすまでは想像の域を出ないが、新たな使い方を示す役割はiPhoneやiPadと同様、開発者が担う。
ウクライナのデベロッパーELEKSは、Tesla向けのApple Watchアプリを作ったらこうなる、というアプリのイメージを開発し、その経緯と動作風景をYouTubeに掲載している。
Tesla Motorsは、PayPalを立ち上げたことで知られるイーロン・マスク(Elon Musk)氏が投資した電気自動車のスタートアップで、現在のModel Sからは独自のシャシー・ボディとモーターの組み合わせによるクルマ作りに着手している。インターネットに接続されることが前提となっており、既存のクルマ作りの概念にとらわれない先進性とクリーンエネルギーの観点から、人気を博している。
このネットにつながったクルマであるTeslaには、すでにスマートフォン向けのアプリがあり、鍵の解錠、ライトやクラクションの操作、室温の確認、充電状況と航続距離の確認、窓・ルーフの開閉、エアコンの調整などを遠隔操作することができる。また、GPSでクルマの位置を確認することも可能だ。
Eleksはこれらのアプリの機能を踏まえ、Apple WatchからTeslaをコントロールするためのアプリをデモとして開発したのだ。6つの画面を用意し、前述の機能を踏襲するアプリとして完成させている。
作った感想は「開発者の予想に到達していない」
Eleksはビデオに加えて、前述のページでより詳細な開発の経緯についてもコメントしている。
この中で、現在公開されている開発キットでは、すべての機能を備えたApple Watch向けのアプリを開発することは非常に難しいとしている。また、2014年9月9日のスペシャルイベントで発表したApple Watchを活用したビジネスアイディアを実現することも、現段階ではできないとしている。
一方、MacRumorsが掲出したタスク管理アプリ「Todoist」のApple Watch向けのデモでは、おおよその機能を実装できているようにも見える。アプリによって、あるいはやることの複雑さによって、初期のApple Watch向けのWatchKitでできる範囲が異なっている様子が見受けられる。
作るのが難しかったというTesla向けのApple Watchアプリのデモは、現段階において、ウェアラブルデバイスから自動車の状況を知り、またコントロールする点においては、十分な役割を果たしてくれるようにも見える。
例えば、米国ではショッピングモールなどで巨大な駐車場に車を止めることも少なくないが、寒くて風が強い冬場にスマートフォンを取り出さなくても、時計で自分の位置とクルマの位置を示す地図が表示されれば、最短距離でクルマまでたどりつける。
クルマに着くまでに車内を暖房で暖めておき、冷えているカギに触らず解錠できれば、十分じゃないだろうか。
CarPlayとの連携にも注目
Apple Watchと自動車を結び付ける技術として、もう1つ注目しているのが「CarPlay」だ。2014年3月に披露されたこの機能は、iPhoneをカーナビや自動車のシステムに接続することで、iPhoneを、自動車のタッチディスプレイや車備え付けのインタフェース、音声によって操作する事ができる機能だ。
利用できるアプリも限られ、通話や音声入力に限定したSMS、ナビゲーション、音楽再生、一部の音楽ストリーミングアプリなど、運転中に視線を取られない工夫がなされている。
CarPlayそのものは、iPhoneを接続した車載デバイスのための規格だが、iPhoneと連携するApple Watchが何らかの操作やフィードバックを担うようになる発展もあり得るだろう。また、Teslaのように車載機が必ずインターネットに接続されている車種の場合は、CarPlayの活用に関わらず、Apple Watchとの連携が可能になる。
あるいは、Apple WatchとCarPlayをより密接に連携させる方法を、Apple自身が考えてくれれば、クルマとスマートウォッチの関係性はもう少しすっきりするのではないだろうか。
シチュエーションで考える
例えば、ハンドルを握っている手元にApple Watchがあり、通話を行ったり、ナビゲーションで曲がる直前にTapTic Engineによるフィードバックを行ってくれても良いかもしれない。
また、運転者の眠気を心拍間隔の変動(心拍ゆらぎ)から感知することができるとされているが、例えばApple Watchで運転中、心拍ゆらぎを検知して運転者が眠くなってきたことを感知したら通知する、といった安全対策にも活用できるのではないだろうか。
ウェアラブルデバイスは汎用品としての存在が必要だが、一方で特別なシチュエーションでの優れた活用もまた重要な魅力となる。より多くの人が、特別な場面での便利さに触れられるよう、Appleもアプリをよりたくさん集めていく必要があるだろう。
関連記事
- 第14回 「Apple Watch」の発売に向けて、準備を進めるApple
1月27日に開催された決算会見で、「4月発売」が予告されたApple Watch。その存在は、Apple Storeのあり方やiPhoneの使い方にも変化をもたらすと考えられる。 - Appleのティム・クックCEOお気に入りの「Apple Watch」 4月出荷が予定通りである理由
AppleのCEO、ティム・クック氏は、「これなしでは生きていけない」くらいApple Watchを気に入っているとのこと。“当初のスケジュール通り”、4月に出荷の予定です。 - 「Apple Watch」が発売される“Early 2015”とはいつなのか
諸説あるApple Watchの発売日ですが、「Early 2015」とはいつなのか、過去の事例を調べてみました。 - 第5回 見えてきた「Apple Watch」でできること
Apple Watch向けのアプリケーションを開発するための「WatchKit」が公開され、Apple Watchでどんな機能が利用できるのか、具体的にどんな動きをするのかが少しずつ分かってきた。 - Apple Watchの2月24日発表会説を考える
2月下旬にApple Watchの発表会がある――。そんな報道がありましたが、果たして信頼性はあるのでしょうか。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
-
9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
-
大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
-
「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
-
「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
-
「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
-
「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」