暖色系の光は睡眠に良い? ホントかどうか試してみた眠りの達人への道

現代人が望んでやまない「快眠」「熟睡」。睡眠時間の短い筆者もなんとか実現したい。そこで部屋の蛍光灯を赤っぽい色の「電球色」に変えてみた。これが本当に眠くなる!……だが、少々問題が。

» 2015年02月25日 06時00分 公開
[小林誠ITmedia]

 眠りに良いとされることを毎回試し、睡眠計で計測したデータを見て「実際に効いたのか?」を検証する本連載「眠りの達人への道」。

 部屋の明かりを変えると睡眠に良いという。そこで筆者は部屋の白い蛍光灯を、赤色、オレンジに近い蛍光灯に変更した。たしかにムーディーな部屋になり、いかにもリラックス効果はありそう。実際、夜になると眠くなるのが早い。これは効果抜群! しかし布団に入らずに眠ってしまうことも多い。効果があり過ぎるのだ。結果、睡眠の質は低く、睡眠時間も短くなってしまった。1週間を振り返り改善点を考えてみよう。

「電球色」の表記がある赤、オレンジ系の蛍光灯のパッケージには「リラックス」「あたたかい」「目にやさしい」といった、健康に良さそうな言葉が並んでいる

快適な睡眠を求めるなら蛍光灯は「電球色」が良い!

 睡眠に良い「部屋の灯り」があるらしい。ネットで検索しなくとも、蛍光灯を買いに行くと「昼白色」「昼光色」「電球色」と3タイプある場合がほとんど(「ナチュラル色」「クール色」といった表記もある)。ということは、それぞれ見え方、感じ方、効果が違うであろうというのは分かる。

 そこで選んだのが「電球色」。ほとんどの蛍光灯のパッケージは、赤やオレンジ、濃いめの黄色となっているので選びやすい。以前この連載でも触れた甲南大学の前田多章准教授の睡眠に関するWebページでは、暖色系の光はメラトニン(睡眠に効果がある)の分泌を"抑えにくい"とされる。つまり眠りを妨げにくいということだ。

 また電球メーカーの新商品のリリースを見ると、睡眠前の灯りを「オレンジ色」にすることで、快適な睡眠になるとうたっている。たとえば東芝ライテックの「マルチカラーLEDシーリングライト」のリリースでは、そんな灯りを「おやすみアシスト」として、特長のひとつとしている。

 このリリースでは同社の試験によって、白色タイプよりも寝つきの時間が短くなったことが紹介されている。

 そんなわけで筆者が購入したのはオレンジのパッケージであるパナソニックの「パルック プレミア LS 32形 電球色」と、日立アプライアンスの「きらりUV プレミアム ゴールド 30形 きらりL色(3波長形電球色)」だ。それぞれ家電量販店で1490円と1470円(税込)。

購入した蛍光灯。メーカーは違っても赤、オレンジ系の「あたたかい」色は共通だ

昼光色→電球色に変更しても、部屋は意外なほど明るい

 筆者が従来使っていたのは、同じパナソニックの「パルック プレミア LS 32形 昼光色」と、日立アプライアンスの「きらりUV プレミアム 30形 きらりD色(3波長形昼光色)」。どちらも白い蛍光灯だ。

こちらは筆者が以前から使っている蛍光灯。白系のほうが明るいと思っていたため。今回は上述の通りこのシリーズの「電球色」を選んでいる

 筆者としては電球色よりこれらのほうが明るく感じるので、日当たりがいまひとつな部屋にちょうどいいだろう、と思い、昼光色ばかり買ってきた。正直、電球色では部屋が暗くなり、仕事に影響が出るのでは、と思っていたのだが、意外とそんなことはない。

 電球色を1週間使用し続けて気付いた点は以下となる。

メリット

  • 蛍光灯を替えるだけ
  • 寝つきが良い
  • 部屋の中の明るさは同じ

デメリット

  • 交換費用が発生
  • 部屋の外から見るとオレンジ
  • 風呂に入らずに寝てしまう

 切り替えた当初は、その「オレンジ」色に戸惑うし、外出先から戻ってきたときに部屋を見ると、「ものすごく夕日が入っている部屋」に見えて「暗いのでは?」と驚くのだが、部屋に入ってしまうと、まったく気にならない。目が慣れるのか、外から見るよりも十分明るい。

(左)は普段使っている「昼光色」の蛍光灯。(右)今回試した「電球色」の蛍光灯。部屋がオレンジ色に。これほど差があるのに、実は部屋の中にいると光の色の違いは気にならない

 実際、明るさを照度計で計測してみたが、今回付け替えた電球色の蛍光灯のほうが明るい。そんなわけで1週間付け替えたままでも、仕事にはなんの影響もない。PC、スマホ、タブレット、テレビの画面もすべていつも通りに見える。

6畳の部屋の真ん中、蛍光灯の真下で照度計を使って計測。(左)昼光色は237ルクス。(右)電球色は302ルクス。実は電球色のほうが明るかった。人の印象ってあまりアテにならないのかも

 そして実際に1週間寝つきも良いのだから、確かに効果があるように思える。蛍光灯を替えれば、あとはとくに何も考えずに生活をするだけ。とてもラクだ。

あっさり眠れて寝つきは良い! だが布団に入らず寝てしまう

 デメリットとしては、蛍光灯の交換費用が発生する点だが、筆者のようにひとつの部屋の蛍光灯を替えるだけなら、3000円もあればOK。読者が広い家に住んでいたとしても寝室の灯りを交換するだけ。しかも長く使えるから費用はそう気にならないはずだ。

 ただ筆者のように居間兼寝室といった場合は、人を呼ぶと一瞬驚かれそう。まあ話のタネくらいに思っておこう。

 最大のデメリットは、寝つきが良いため、風呂に入る前に寝てしまう、ちょっと横になっているだけで眠ってしまう点。

 横になってテレビを見ているだけでも眠くなる。しかも「ウトウト」と睡眠をためらっている時間がないのだ。「眠いなー」と思いながら横になっていると、あっさり「パタッ」と眠ってしまう感じ。筆者の場合、身体が疲れている時によくあるパターンだが、今週の仕事量はごく普通。ということはやはり「電球色」の効果だろう。

 そんなわけで、きちんと布団に入っていない。そのため深夜に突然起きたり、汗のベタつきや寒さで目覚めが早くなる。

 結果、1週間の平均睡眠時間は12分短くなってしまった。

  • 通常時の睡眠時間……平均5時間47分
  • 今回の睡眠時間………平均5時間35分

 睡眠時間の計測はオムロンの睡眠計「HSL-101」を使用した。

 そのデータをスマホのアプリ「ねむり体内時計」に取り込み、1週間の睡眠を確認したところ、ほかで試した快眠方法より1週間の寝つきは良いように思える。

(左)通常時の睡眠時間。青が布団に入ってから眠るまでの「寝つき」の時間。(右)今回の睡眠時間。18日の計測時間がおかしいものの、それでも平均睡眠時間は短い。睡眠計「HSL-101」はオートで計測のため、実際はもっと早めに寝ている(就寝ボタンを押せずに寝てしまう)。20日に関しては、風呂に入る前に眠り、2時頃に一度起きていると思われる

 同じく「ねむり体内時計」では、1週間の睡眠を9種類の動物にたとえて表す。ベストはヒツジタイプだが、筆者は今回「夜はきっちりライオンタイプ」と診断された。通常時は「きっちりキリンタイプ」で、比較すると以下の画像になる。

(左)通常時。眠りは浅かったが就寝・起床時間は規則正しかった。(右)今回。グラフのバランスは悪くなるばかり

 今回の「電球色」蛍光灯は、筆者の実感としては「かなり惜しい」ように思える。しっかり布団に入り、寝る準備ができていればよく眠れそうだ。

 そこで次週から筆者は蛍光灯を元に戻し、寝る前に消灯し「電球色のライト」を枕元に点灯してみる。これも部屋が暗くなり、睡眠に効果があるという。なにより布団に入らなければ、効果を発揮しない。これで早めに寝てしまうことはないはず。さて上手くいくか、これから実験だ。

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