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» 2015年03月02日 06時00分 UPDATE

花粉症対策で今話題の「舌下免疫療法」って何? 効果や費用を解説

2014年に治療薬が保険適用となり、現在注目されている「舌下免疫療法」。そのメリットや費用、治療の流れについて解説します。

[ITmedia]
花粉症対策に今注目の「舌下免疫療法」
ts_doctor01.jpg 耳鼻咽喉科医師

 花粉症の治療には、アレルギー症状に対する第二世代抗ヒスタミン薬をはじめとして、鼻症状に鼻噴霧用ステロイド、目の充血やかゆみに抗アレルギー薬の点眼薬が用いられます。また、リザベン(トラニラスト)やインタール(クロモグリク酸ナトリウム)といった抗ヒスタミン作用の弱い抗アレルギー薬が用いられることもあるでしょう。一般用医薬品では鼻炎症状に対し、眠気の強い第一世代の抗ヒスタミン薬であるジフェンヒドラミンやクロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されたものを使うこともあります。

 しかし覚えておきたいのは、これらがどれも対症療法であるという点です。これに対して、花粉症の人の身体へ花粉を少しずつ投与し、体を慣らして花粉症を克服させるという減感作療法があります。そして最近では、さらに進んだ免疫療法として舌下免疫療法が行われるようになりました。

「舌下免疫療法」のメリット

 免疫療法の1つである「減感作療法」には、すでに40年の歴史があります。現在でもアレルギー体質の改善が期待できる方法として評価されていますが、治療期間が2〜3年と長く、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるほか、改善率は約60%と言われています。患者は2〜3年もの間、体内に注射を打ち続けなければなりません。これには、花粉シーズン以外にも注射を打つという苦痛が伴います。

 そこで期待されているのが、舌下免疫療法です。これは治療期間こそ減感作療法と同様に2年以上かかりますが、注射ではなくスギ花粉を含むエキスを舌の下に垂らします。注射と比べて苦痛が少なく、自宅で簡単にできる治療法です。

 他の医薬品を用いた治療法は対症療法のため、発生した症状を一時的に抑えているだけです。これに対して舌下免疫療法は、根本的に体質に働きかけて治療していくものとなっています。例えば妊娠中のため薬は控えたい、あるいは運転する機会が多いので眠くなる薬は避けたいという人にも有用です。さらに基本的には自宅での治療が可能なため、通院日数も減って時間の節約にもなります。現在、アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用は報告されていません。

費用と実施医療機関

 舌下免疫療法は、2014年に「シダトレン スギ花粉舌下液」が保険適用となりました。治療を受けるにはあらかじめアレルギー検査を行い、スギ花粉による花粉症が認められることが条件になります。なお、スギ花粉以外の花粉による花粉症、また12歳未満の方は適応にならないので注意が必要です。

 保険が適用される前は、年間費用として6〜7万円かかっていました。しかし保険適用となった現在は、通常の3割負担で治療を受けられます。つまり、年間2万円程度で受けられるという計算です。

 千葉大学医学部附属病院や日本医科大学付属病院、福井大学医学部附属病院、ゆたクリニック、岡谷亜大学病院、鹿児島大学病院をはじめ、舌下免疫療法を実施する医療機関は増加傾向にあります。治療は最初の約1年間は2週間に1回の受診を行い、その後は1カ月に1回ペースとなります。治療期間の見込みは3〜5年です。副作用として、口の辺りがかゆくなったり、腹痛や下痢、嘔吐、じんましんなどが見られたりという報告がありますが、重篤なものはありません。

舌下免疫療法の流れ

 舌下免疫療法は、次のような流れで行われます。

  1. 舌の下にパンくずを置く
  2. パンくずに花粉エキスを垂らす
  3. 舌の下にパンくずを置いたまま2分待つ
  4. 2分経ったらパンくずを吐き出す(もしくは飲み込む)

 こうした一連の流れを、毎日1回ずつ行います。

 花粉が体内に侵入すると、免疫細胞によって花粉の情報が伝達され、抗体が産生されてアレルギー反応が起こります。しかしこの舌下免疫療法によってこの花粉情報が伝達しにくくなり、抗体の産生量が減ってアレルギー症状が軽減していくのです。民間療法にはスギ花粉カプセルを飲むというような方法もありますが、舌下免疫療法はこれと異なり、医師の指導管理の下できちんとスケジュールが組まれて進められます。

 なお、最近では免疫細胞における免疫反応が弱くなる仕組みについて個人差を明らかにし、個々の遺伝子タイプ等によって治療を選択しようという研究も行われているようです。

(医師:耳鼻咽喉科、42歳、女性)

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