レビュー
» 2015年04月23日 06時30分 UPDATE

本当にスマホ依存から脱却できるのか VELDT SERENDIPITYを1週間使った実感

「ネットに時間を奪われすぎた現代人の生活をリバランスする」ことをコンセプトに生まれた日本初のスマートウオッチ、VELDT SERENDIPITYを1週間使ってみた感想を紹介します。Apple Watchに通じるところもあると感じました。

[園部修,ITmedia]

 日本発のスマートウオッチとして注目を集めるVELDTの「SERENDIPITY」は、腕時計をスマート化し、スマートフォンに過度に依存する生活を“リバランス”することをコンセプトに生まれた腕時計型のウェアラブルデバイスです。iPhoneと連係して動作し、専用アプリとの組み合わせで、iPhoneに届いた通知を手元で表示したり、活動量を計測したりできますが、基本的な見た目は時計である点は、いわゆるスマートウオッチと呼ばれる、全面ディスプレイを採用した製品とは大きく異なります。

VELDT SERENDIPITY VELDT SERENDIPITY

 またiPhoneをより便利にするコンパニオンとして作られたApple Watchは、iPhoneとのスムーズな連携や一部機能の代替が特徴的で、むしろiPhoneを使う時間が増えることもありそうな印象ですが、SERENDIPITYはiPhoneのロックを解除しなくても必要な通知だけを受け取ることができ、iPhoneに依存しすぎない状態を生み出すほどよい機能に押さえられているのが特徴です。

 そんなSERENDIPITYを1週間身に付けてみた結果、どんなところに良さを感じたのか、簡単に振り返ってみたいと思います。

VELDT SERENDIPITY 裏面にmicroSDの端子を備える
VELDT SERENDIPITY ボタンは本体に4つあり、左上と右下の2つには任意の機能を1つずつ割り当てられます。右上はアナログ時計の調整をするリュウズ。左下に1行ディスプレイの表示を切り替える2つのボタンを備えます

厳選した通知を腕で受け取る便利さ

VELDT SERENDIPITY iPhoneへの通知を、LEDと1行ディスプレイの表示で確認できます

 まず付け始めてすぐに感じたのが、腕時計で通知を受け取れることは必ずしもいいことばかりではない、ということです。初期設定では、メールからメッセージ、Facebook、Twitter、LINE、そしてその他アプリのあらゆる通知をすべてSERENDIPITY側で確認できるようになっているのですが、昼間は1時間に何回も通知が届いてしまい、煩わしさを感じました。

 さらに、通知が来すぎると、通知が来ることに慣れてしまって、通知そのものに鈍感になります(人間はすぐ適応します)。その状態を放置していたら、通知が来てもあまり確認をしなくなってしまいました。それはそれであまりいい状態とは言えません。そこで通知をLINE、メール、そしていくつかのアプリだけに絞ったところ、ようやくほどよいバランスが見付けられました。このチューニング作業はかなり重要だと思います。おそらくApple Watchでも同じように感じるでしょう。

 “割り込み”を許す通知を厳選すると、重要なメッセージは逃さず、さりげなくチェックできるようになります。これは非常に便利だと感じました。家族などからのLINEをしっかりキャッチできますし、同席している人に気取られずにメールの着信を知ったりできます。話をしている最中などに、ポケットからスマートフォンを取り出して画面を確認するのは、相手に不快感を与える可能性があります。ですが、腕時計をちらっと見る程度であれば、会話の途中でも不自然ではなく、難易度はだいぶ低いと言えます。

 もっとも、このとき円形に12個並んだLED、Vivid Loopが輝くと、自分以外の人の目をひいてしまう可能性があります。LEDを光らせる設定にしておく場合はその点に配慮が必要です。Vivid Loopが光らない、マナーモードのようなものがSERENDIPITY側で簡単に設定できるとよいと感じました。

 LEDのパターンは「WAKAKUSA」「HIMAWARI」「DAIDAI」「NIJI」「SAKURA」「FUJI」「KONPEKI」の7色から選べます。和風な名称と、単純な虹の7色ではない点が特徴です。例えば筆者はFacebookを青系のKONPEKI、LINEを緑が入ったWAKAKUSAなどに設定していました。

 バイブレーションは初期設定では大きめですが、気になるようなら強さを変更できます。個人的には最小でも十分だと感じました。

さりげなく時間や天気を見るのに最適な腕時計

VELDT SERENDIPITY SERENDIPITYの天気予報機能では、時間帯ごとの天候の変化がLEDで確認できます

 自分もスマートフォンを持ち歩くようになって腕時計をしなくなったクチですが、やはり腕時計をしていると、必要なときにさっと時間が確認できて便利です。これは腕時計ならではのメリットで、久々に思い出しました。

 会議や商談、あるいは取材のような場で、残り時間が気になるシーンはあるものです。会議室に時計があったり、PCを開いていて時刻が見られたりすれば問題はありませんが、そうでない場合はやはり腕時計がとても便利です。

 時計部分は4年間、バッテリー交換が不要なので、いざというときにバッテリー切れ、といった心配はまったくありません。スマートフォンと連携する部分は、通知の回数が多いと数日でバッテリーが半減してしまっていましたが、それでも思い出したときに充電すれば十分に間に合う程度でした。この点も、腕時計ならではの魅力と言えます。

 また、特に重宝したのが天気予報の機能です。時計の周囲に、この先12時間の天気の様子が色で表示されるので、直感的で分かりやすいのがポイントです。帰宅予定の時間帯が青ければ、「あ、雨が降るのだな」と分かりますし、今雨が降っていても、数時間後から白やオレンジに変わっていれば、雨が上がることが分かります。左上と右下のボタンには、ショートカット的に呼び出す機能を1つずつ割り当てられるのですが、天気予報はこれの1つに絶対割り当てておきたいと思いました。

iPhoneを手にする回数は、通知のチューニング後に減少

 SERENDIPITYを付けると、本当にiPhoneを見る回数は減るのか、実際にチェックしてみたところ、通知のチューニングをした後は、若干減ったことが確認できました。以前紹介したことがある「Moment」というiPhoneアプリを使って計測した、1日あたりの平均使用時間と起動回数は以下の表の通りです。

MomentによるiPhoneの使用時間と起動回数の計測結果
日付 平均使用時間 平均起動回数
3月26日〜4月1日 140分/日 33回/日
4月2日〜4月8日 155分/日 37回/日
4月9日〜4月15日 119分/日 32回/日

 SERENDIPITYにより、通知を腕時計で受けられるようになると、当初は使用時間と起動回数は増える傾向が見られました。これは恐らく、通知が来すぎて、今まで気付いていなかった着信や通知にまで気付いてしまい、iPhoneを見る回数が増えたのだと考えられます。1週間使って、通知をチューニングしてからは、使用時間が短くなりました。

 厳密には、日によって行動も違いますし、記事作成のためにiPhoneを何度も起動した日もあったので、あくまでも参考程度の数字ですが、もう少し長く試用できていたら、さらに使用時間と起動回数は減っていたように思います。通知が来る度にiPhoneをチェックしてしまうと、ついそのままほかのアプリを起動してしまったりするのですが、必要な通知だけを受け取るように設定してからは、そもそもiPhoneに触れる回数が減って、使用時間も短くなりました。

デザインと機能のバランスは魅力的

 iPhoneばかり見ている生活を変え、もっと顔を上げて周囲に目を向ける――。そんなコンセプトから生まれたVELDTのSERENDIPITYは、確かにそれを実現させるための機能が用意されていました。ただ、本当にSERENDIPITYの実力を発揮させるためには、通知の最適化など、ちょっとした最初の努力が必要でした。

 Apple Watchのように、今までiPhoneでやっていた操作やiPhone上で実現していた機能を代替するものではないため、Apple Watchと同等の機能を求めると、がっかりするかもしれません。しかし、iPhoneを見る時間を減らす、という側面においては、とても効果的です。iPhoneが手放せない自分を少し変えてみたいなら、SERENDIPITYを付けてみるのは面白い体験でしょう。

 価格は安くはありませんが、質感は高く、スマートウオッチとしての機能は、現在入手できるものの中では非常に高いと感じます。TPOに合わせて選べる「大人のためのスマートウオッチ」の選択肢として覚えておきたい製品です。

VELDT SERENDIPITY クッションに巻いた状態で箱に入っているVELDT SERENDIPITY。写真はModel R Moon Ray

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

オススメ記事