第52回 「JINS MEME」で何が分かるのか:“ウェアラブル”の今(2/2 ページ)
本を読むときの姿勢をなんとかした方がいい
まずは、ボディのデータから見ていこう。
このように時系列のグラフにすると分かりやすいが、立っているときと座っているときで、如実に緩急がつくのが活動量だ。行きの電車は朝早くにもかかわらず座れなかったため、活動量が上にへばりついている。一方、空港で一息ついた際、そして飛行機の中、運転中も、べたっと活動量がゼロになっている。
一方姿勢については、クルマの運転中は顔を上げて前を向いているせいか、比較的良い値が出ている。空港に着いてからと飛行機の中は、目を下に落として読書をしていたため、「姿勢が悪い」と評価されてしまった。確かに、姿勢良く読書をするというのは、小学校の国語の授業で音読に当てられたときの、あの姿勢(両手を伸ばして顔の正面に教科書を持ってくる姿勢)ということだろうか。
青い池でも旭山動物園でも、基本的にはカメラのファインダーをのぞいて写真を撮っていたのだが、そのときの姿勢が悪い、というのはなんだかかっこうが悪いということだろうか。この自分の行動を振り返りながらJINS MEMEのデータを振り返ると、素人であっても、あのときの姿勢は良かった、本を読むときはもっとこうしよう、という反省ができるのだ。
朝起きて、読書で集中力が高まっていた
次はマインドだ。こちらも実際の行動と照らし合わせると、面白い結果を得ることができた。一番面白かったのは集中力だ。
朝は5時に起きてメガネをかけ始め、出発したのは5時半頃。集中力は中位だったが、移動しながらだんだん目が覚めてきたのか、ターミナルに着いたときにはエンジンがかかり終わった、といったところだろうか。
その後、ターミナル、機内で読書をしていたため、集中力は高い状態を維持していたようだ。確かに悪いながらもさほど姿勢は変わらず、また視線も本に落としたままだったことが、そういう分析につながっていたのだろうか。
もちろん、集中力を高めようとしていたわけではなく、ただ本を読んでいただけだが、裏を返せば、姿勢や視線で集中力を高める振る舞いを会得することもできるのかもしれない、という考えも浮かぶ。
JINS MEME向けにはウォーキングに続いて、コアマッスルを鍛えるアプリも登場予定で、いずれもボディの鍛錬のためのものだが、マインドの鍛錬のアプリ、という可能性も開けるのではないだろうか。
雪上ドライブで集中力が削られている様子も明らかに
さて、空港に着いてからの集中力は、興味深い。というより、若干ゾッとするデータを突きつけられた。
11月25日、空港に降り立ったときには旭川は一面の銀世界、−11度という環境。30センチというしっかりとした量の雪が積もり、すでに街中も含めて圧雪路になっていた。筆者の住むカリフォルニア州バークレーは雪が降らない場所なので、そもそも慣れていない雪上のドライブを余儀なくされることになった。
雪上ドライブはグラフ中の赤い領域で、午前中のうちでも合計2時間ほどの運転をしているが、集中力がぐんぐん下がっていることが分かる。旭山動物園に着いた頃には、朝起きたときよりも集中力が下がっている状態になっていたとは驚きだ。
決して自分では眠気を感じているわけではないし、疲れたとも感じていなかった。しかしデータの上では、集中力が途切れつつあったことを示している。だからといってすぐに事故を起こすわけではないし、もちろん起こさないよう安全運転を心がけている。しかし自分では感じない変化が起きていたとすれば、それに気づかなかったことが衝撃的だったのだ。
本来事故を回避したいという点から、事故時のJINS MEMEによる集中力分析を行うのは難しいかもしれないが、集中力の低下と事故の相関関係はぜひ知りたいところだ。ちなみに、JINS MEME ES向けに、運転中の眠気を通知するアプリが既に用意されており、安全運転に役立てる事ができる。
自分の状態を見つめることは、未来のアイデアになり得る
マインドについては、活力と落ち着き、という2つの指標も取れる。
特徴的なのは、フライト中の活力の落ち込み方。座れなかった電車移動と対照的である点が面白い。またドライブについても、雪上ドライブ開始時は少しわくわくしていたが、実際の大変さに直面して意気消沈している、という様子までは読み取ることができた。それにしても、ペンギンで活力が上がりきっているのはどうなのだろう。
本稿では、JINS MEME ESで取得したデータと、スケジュール、筆者の記憶と心象、というあまり科学的ではない相関を比較することにしていたため、JINS MEMEのデータが各種指標のパラメータにどのように関係しているのかには特に触れていない。こちらについても、取材を通じて紹介できる範囲でお伝えできればと思う。
ただ、自分の中で、スケジュールや行動について、仮説を立てるには十分なデータがそろっているとも言える。例えば朝、いち早く集中力を高めるにはどうすればいいか、運転中の集中力を保てる自分なりのドライブプランの立て方、フライト中の活力アップ法など、考えたり、試したりするきっかけを与えてくれているからだ。
JINS MEMEのAPIは現在、iOS向けに公開されており、今後Androidも含め、開発者がJINS MEMEのデータを活用するアプリを作ることができるようになっていく。個人的に欲しいのは、マインドやボディのパラメータを意識したスケジューリングアプリがあると面白いんじゃないかと思っている。
こうした発想が浮かぶことからして、JINS MEMEは単なるウェアラブルデバイスではない、「プラットホームとして面白い存在」になっているのではないか、と感じている。
関連記事
- 第51回 「JINS MEME」は何がすごいのか
取材をしてから約1年、センサーを搭載したアイウェア「JINS MEME」の販売が始まった。ようやく実機を使う機会ができたので、JINS MEMEの使い勝手や可能性について考えていきたい。 - アイウェア「JINS MEME」11月5日発売 カジュアルとスポーツの2タイプで登場
ジェイアイエヌは10月14日、メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」のウエリントンタイプとスポーツサングラスタイプを11月5日から販売すると発表した。 - 「未知なる自分」に出会えるメガネ――疲れや眠気を見える化する「JINS MEME」
アイウエアブランド「JINS」が、目の動きやまばたきから疲れた眠気を測定するメガネ「JINS MEME」を開発。視力矯正という従来のメガネの役割を超え、新たな市場を開拓する。 - 第6回 メガネ型「JINS MEME」が着目する“ディープデータ”
ジェイアイエヌが5月に発表した「JINS MEME」は、Google Glassなどとはまったく異なるアプローチのメガネ型ウェアラブルデバイスだ。眼電位を測定するJINS MEMEから得られるデータは、高精度な身体情報として注目に値する。 - アイウェア「JINS MEME」を体験できる「JINS MEME Flagship Store 原宿」がオープン
メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」のデザインやサービスなどを紹介するコンセプトストア「JINS MEME Flagship Store 原宿」が東京都渋谷区にオープンしました。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「プロ野球チップス」で誤字 伊藤大海投手を「176m」と記載してカルビー謝罪
-
「ママ友襲来10分前」→さぁ、どうする……? 大爆笑の“あるある”再現が400万再生突破「腹ちぎれました」「バナナ食べんでもええやん」
-
富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
「大型魚の餌に!!」 熱帯魚店の“思わず目を疑うPOP”に恐怖 「サメでも飼うの?」
-
2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに手をスリスリされた瞬間…… 愛と幸せあふれる空間に笑顔になる「これぞ天使だ」
-
漂う違法感 東京に戻る息子へ持たせた“大量のブツ”に「九州人あるある」「帰省からの帰りいつもこれ」の声
-
異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」