これから重要度を増す音響技術、補聴支援スピーカー「コミューン」のアプローチ(1/2 ページ)

ユニバーサル・サウンドデザインから補聴支援スピーカー「comuoon」(コミューン)の新製品が登場した。独自の技術で高齢者や難聴に悩む人たちの音声コミュニケーションをサポートする。

» 2016年03月03日 19時13分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 ユニバーサル・サウンドデザインは3月3日、補聴支援スピーカー「comuoon」(コミューン)の新製品を発表した。高齢者や難聴を抱える人たちの音声コミュニケーションをサポートするというもの。「スピーカーでは難聴者の支援はできない」という、かつての常識を覆した製品の最新版だ。

新製品の「comuoon SE」

ボリュームを上げると逆効果になる場合も

 同社の中石真一路社長によると、難聴はその原因によって大きく2つに分類されるという。1つは、外耳や内耳(外耳道、鼓膜、耳小骨など音を振動に変えて体内に伝える器官)に機能障害がある「伝音性難聴」、もう1つは内耳やその先にある聴神経に障害のある「感音性難聴」だ。

ユニバーサル・サウンドデザインの中石真一路社長

 伝音性難聴の場合、補聴器などで音を大きくすれば聞き取れるが、一方の感音性難聴は音が歪(ひず)んで聞こえるため、単純にボリュームを上げると余計に音が歪んで逆効果になる。しかも、日常生活に支障があるとされる“中度”や“重度”の難聴は感音性難聴であるケースが多い。

 音を大きくするとさらに聞き取りにくくなるのだから、スピーカーや補聴器はあまり役には立たない。中石氏によると、「以前は、“スピーカーでは難聴者の支援はできない”というのが医療関係者の常識だった」という。難聴と診断された人でも、実際に補聴器を使っている人は少ないという状況もそれを裏付けている。

 そんな常識を覆したのが、2013年に登場した初代「comuoon」だった。comuoonは、独自の研究成果を反映し、とにかく“歪(ひずみ)のない音”を目指した。例えばスピーカー部では、低歪で知られるアルミニウム素材を用い、非常に細かいハニカム構造(蜂の巣状)の振動板を開発。歪を抑えつつ振動板自体の柔軟性を上げて応答性を向上させた。再生周波数特性は、人の可聴域をカバーする80〜2万Hz。ただし、難聴の方は1700Hz付近の高い音が聞き取りにくい傾向があるため、該当する周波数帯を少し持ち上げるセッティングになっている。「1700Hz付近は、人の声を聞き取る際に重要になる」(同氏)

スピーカーは指向性を高めるため、砲弾型を採用。その奥には一見フラットにみえる振動板。実は非常に細かいハニカム構造になっている(写真は新製品)

 一方でアンプ部はとにかくフラットな特性を目指した。コミューンには、オーディオ用に開発された新日本無線のオペアンプ「MUSE」(ミューズ)が2基搭載されている(マイクと外部入力に各1個)。MUSEは、ピュアオーディオの世界でも音質に定評のあるアナログ半導体だが、補聴支援の場でも「究極にクリアな音を出す」(同氏)と評価されている。

 マイクは、一般的なコンデンサーマイクだが、細長い形状にして集音性能を高めた。これは、テレビ番組などで音声スタッフが使っているガンマイクと同じ仕組み。効率良く集めた音は、A/D変換後に非圧縮のまま、やはりオーディオ用に開発された2.4GHz帯デジタル無線方式で伝送する。伝送距離は見通し約10メートル。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」