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» 2016年10月31日 06時30分 UPDATE

臨床心理士みらーのメンタルアドバイス:眠れない夜の対処法

布団に入っても眠れないという経験は、多くの人が持っていると言われています。厚生労働省の調査では、6人に1人が不眠を自覚しているという報告もあります。今回は不眠と、その対処についてのお話です。

[みらー,ITmedia]
眠れない

 皆さんは最近よく眠れていますか? 夜眠れなかったという経験は、多くの人がしているのではないでしょうか。夜寝付けないと翌日が辛いからと、なんとか寝ようと焦ってがんばって何度も寝返りをうって、でも窓の外が明るくなってきた、なんていうことになると目も当てられません。また、眠れないと翌日も辛くなってしまいます。なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。また、この夜眠れないという現象はどうやって対処していけばいいのでしょうか。

なぜ夜眠れなくなるのか

 なぜ人間は眠るのでしょうか。それは、睡眠が脳や体の機能を正常に保つために必要だからです。そして人間は、夜眠るようにできています。しかし、夜でも睡眠を誘う機能より身体を覚醒させる機能の方は強くなってしまうと、人間は夜でも眠る事ができなくなります。では睡眠を誘う機能よりも覚醒させる機能の方が強くなった状態とはどういう事でしょうか。

眠りを阻害する要因

 睡眠を誘う機能より、身体を覚醒させる機能の方が強くなる、眠りを妨げる要因には以下のようなものが挙げられます。

・生活リズムの乱れ

 人間の基本的な1日は、朝起きて、夜は眠るというサイクルです。ところが何らかの理由でこのサイクルが崩れてしまうことがあります。生活サイクルが崩れても、人間はどこかで眠らなくていけない訳ですから、夜間に眠れず、昼間に寝てしまうということが起きてくるわけです。

・自律神経の乱れ

 眠くなる状態というのは、人間が持っている自律神経という神経と大きな関係があります。自律神経は休むための副交感神経と、動くための交感神経の2つがあって、この2つはどちらかが強くなればどちらかは弱くなります。通常、夜は休むための副交感神経が優位になり、眠くなります。

 しかし、何らかの理由でこの副交感神経が優位にならなくて、動くための交感神経が優位になれば、人間は眠る事ができなくなります。例えば昼間に働き過ぎたり、大きなストレスを受けるようなことがあった場合、交感神経が強く働きすぎて夜も静まらず、疲れているのに眠れない状態になります。また、子どもが遠足の前日に、翌日が楽しみで楽しみで眠れなかったり、テストや大事な仕事の前日等で緊張してしまったりするのも、夜でも交換神経が優位になって眠れないのが原因です。

 ほかにも何らかの理由で交感神経が優位になると、夜眠れなくなることがあります。

眠れない夜をやりすごそう

 では、こんな風に夜眠れなくなってしまったら、どうやって状況が改善できるでしょうか。その方法をいくつかご紹介します。

・規則正しい生活をする

 人間は正常なリズムで生活していれば、自然に夜眠くなります。ですので、生活リズムを整えてしまえば夜眠くなり、自然に眠る事ができます。そのためには、まず朝起床したら20分以上太陽の光を浴びて、体に朝であることを認識をさせることが大切です。そして、起床時間や食事の時間をなるべく一定にして、体の生活リズムを整えると、体がその生活リズムを覚えてくれます。この状態になると、生活リズム通りに夜は眠る事ができます。

・自律神経を整える

 夜眠れないのは、交感神経が優位になり、副交感神経が弱くなってしまうことが大きな原因です。ということは、副交感神経を優位にしてやれば、夜眠りやすくなります。

 そのためにはいくつかの方法があります。

  1. 風呂に入る
  2. ストレッチをする
  3. 暖かい飲み物を飲む
  4. あえて眠ろうとしない

 まず風呂は、非常に高いリラックス効果が得られ、副交感神経を優位にしやすくなります。また、肉体的な緊張もほぐれ、体温が上がることによりより、体をより眠りやすい方向に導きます。

 同じ理由でストレッチ等の軽い運動も効果的です。ストレッチは筋肉や関節がほぐれますし、運動をする事によって身体を休む状態に持っていきやすくなります。ただし、激しい運動をしてしまうと、交感神経が優位になってしまって、逆に眠れなくなるので、激しい運動は避けるようにしましょう。

 暖かい飲み物を飲むのもリラックス効果が得られ、副交感神経を優位にできます。ただし、カフェインが入っている飲み物や酒は逆に交感神経を優位にしてしまうので避けるべきです。

 最後に「あえて眠ろうとしない」というのは、眠れないとき、眠ろう、眠らなければならないと考えないようにしよう、ということです。眠ろうとすると焦ってしまいますし、時計の時間が気になったりして、むしろ交感神経が優位になってしまいます。

 そんなときは、いったん布団から出て「別に眠れなくてもいいや」と考えてみましょう。

眠れないときにずっと布団にいると、布団の中では眠れないと条件付けがされてしまいます。むしろ眠れないときは無理に眠ろうとせず、いっそ布団から出てしまって、趣味や楽しい事をして、「眠くなったら寝ればいいや」という気持ちで過ごすのがいいでしょう。

 この、「眠れないときに布団から出て過ごす」という方法は、心理療法の認知行動療法の考え方に基づいた方法ですので、あれっと思うかもしれませんが、ぜひ一度試してみてください。

 夜眠れないのは本当に辛いですよね。ぜひ今回挙げた方法で、眠れない夜に対処して、眠れない夜をなくしていきましょう。

臨床心理士みらー プロフィール

みらー

 大学院修了後、専門学校の非常勤講師および、高校のスクールカウンセラーを勤め、同時期に教育機関での心理相談員および不登校対策事業の心理相談担当を歴任。

 現在は悩み相談掲示板サイト「ココオル」で相談員を務めるほか、活動領域を青年期支援に移し、地域若者サポートステーションにて若者支援も行い、年間のカウンセリングは1000件以上行い、相談支援に定評がある。


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