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» 2016年12月08日 06時00分 UPDATE

臨床心理士みらーのメンタルアドバイス:疲労には2種類ある! 「休んでも取れない疲れ」のメカニズムと対処法

[みらー,ITmedia]

 人間であれば誰でも、年齢や性別は関係なく、脳や身体が疲労します。そしてこの疲労は、通常は休息や睡眠を取ることで回復します。しかし、いつもと同じことをしていても疲れ方が違ったり、休息や睡眠をとっても疲労が回復しなかったり、身体のだるさや倦怠感が残ってしまうということもありますよね。

 こうした違いはどこからくるのでしょうか? そして、回復しにくい疲労にはどう対処すればいいのでしょうか。

臨床心理士みらー プロフィール

みらー

 大学院修了後、専門学校の非常勤講師および、高校のスクールカウンセラーを勤め、同時期に教育機関での心理相談員および不登校対策事業の心理相談担当を歴任。

 現在は悩み相談掲示板サイト「ココオル」で相談員を務めるほか、活動領域を青年期支援に移し、地域若者サポートステーションにて若者支援も行い、年間のカウンセリングは1000件以上行い、相談支援に定評がある。


疲労の種類とメカニズム

 人間は誰でも疲れます。でもデスクワークのような仕事をしたときの疲れと、運動の疲れとでは違いがありますよね。仕事の疲れは、場合によってはなかなか抜けないということもあると思います。

 実は疲労には2種類あるのです。疲労は(1)「末梢疲労」(2)「中枢性疲労」に大きく分類できます。簡単にいうと、末梢疲労とは「身体の疲労」のことで、中枢性疲労は「脳の疲労」のことです。

 末梢疲労は一般にイメージしやすい、いわゆる身体の疲労で、運動を続けたときに起こりやすい筋肉などの疲れを指します。これは通常十分な休息や睡眠をとることで回復できる、生理的な疲労です。

 一方の中枢性疲労は、頭を使いすぎたり精神的な緊張状態が続いたときに起こりやすい、脳の疲労です。長期間の思考やストレスにさらされ続けた結果、脳に疲労がたまり、休んでも疲労が取れないといったことが起こります。中枢性疲労の場合、同じことをしていても、その時々の脳にかかる負荷によって疲労度は変わってきます。

 夜中に目が覚めてしまったり、倦怠感がぬけなかったり、イライラしたり、不安が強くなりといったことがあって、それが寝ても休んでも抜けないということがあれば、それはかなり中枢性の疲労がたまっている状態かもしれません。

中枢性疲労に対処する4つの方法

 疲れているときは休めばいい。これは誰にでも分かります。筋肉等の疲労、つまり末梢疲労にはこのやり方はとても効果的です。しかし、中枢性疲労、つまり脳の疲れから身体に不調が出ているときには、休息や睡眠だけでは十分でないことがあります。

 では中枢性疲労の回復には、休息や睡眠以外にどういった対処が効果的なのでしょうか。

1. 疑似回復

 頭を使いすぎて疲れたときに栄養ドリンク等を飲むと、一時的に調子が良くなることはありませんか? これは疑似回復と言う現象で、コーヒーや栄養ドリンク、チョコレートなどに含まれるカフェインやお酒のアルコール等は一時的に脳を活性化あるいは鈍化させることで、疲労をマヒさせることができます。

 しかし、これは一時的な処置で、脳の疲労が回復しているわけではありません。ストレスを解消するというよりは一時的な回避ですので、一時しのぎにはいいですが、繰り返すとより疲労がたまってしまいます。

2. 運動による回復

 勉強等で疲れたときには、運動をして身体を疲れさせるといいと言う話を聞いたことはありませんか? 実は運動をすることで、脳の血流が良くなるとともにストレスが軽減され、脳の疲労の回復につながるということが分かってきました。

 例えば米ジョージア工科大学の研究で、20分の筋力トレーニングで脳の活性化ができるという報告があります。運動をすると、脳の神経伝達物質の分泌が増え、それが脳の疲労回復に効果的であるとされています。日常的にできる運動で構わないので、生活に運動を取り入れるのは有効です。

3. 栄養による回復

 脳の疲労が起きたときは、脳のエネルギーが不足している可能性があります。脳は活動するのにたくさんのエネルギーを使いますが、血液中のブドウ糖しかエネルギー源にできません。脳はブドウ糖を蓄積できないので、常に血液からブドウ糖が供給されていないと、うまく働かなくなってしまいます。

 ですので、脳の疲労が感じられた場合は、甘いもので糖分を補給すると、素早く効率的に脳へエネルギーを補給でき、脳の回復を促すことができます。

4. 脳への情報のコントロールによる回復

 脳というのは目や耳から入ってくる情報を常に処理しようとしてしまいます。これは取捨選択はできず、勝手に入ってくる情報でも脳は処理しようとするため、絶えずスマホを見たり、刺激が多い繁華街や人混みにいたりすると、過剰な情報が脳に入ってしまい疲れてします。

 また、マイナスの刺激を与えられたり、自分が嫌だと思うことをしようとすると、心理的ストレスが高くなって脳への負荷が強くなるため、脳がより早く疲労してしまいます。

 そのため、脳への情報のコントロールとストレスの軽減は脳の疲労の回復に効果的です。刺激の少ない場所でおだやかにゆっくりと過ごしたり、刺激を少なくするために目を閉じたりするのもいいですね。リラックスすることで脳を休めるリラクセーションや音楽なども、同じ理由で脳疲労の回復に効果があるとされています。

疲労の種類に応じて適切な対処を

 脳の疲労である中枢性疲労は、肉体の疲労に比べるとなかなか自覚できないものですが、不眠や慢性疲労等、しばしば体にも影響を及ぼします。また、長く放っておくとうつ病等の精神疾患の原因になることもあります。今回紹介したような対処法を使って、小まめに中枢性疲労を回復していきましょう。

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