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50歳、今が一番“強い”です――インフォバーン代表 小林弘人さん(1/2 ページ)

各界で活躍し「周りが放っておかない人」に生活習慣や健康のコツを聞く本連載。今回登場していただいたのは、5年前から格闘技を始めたという小林弘人さんです。

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 どんな世界にも「周りが放っておかない人」というのが存在します。周囲を巻き込む能力が高く、常にいくつもの仕事を抱えていて、それでも忙しそうな素振りは見せずに遊びにも全力で取り組んでいるように見える人たち。本連載では、そんな「引っ張りだこな人々」に、普段の生活習慣や健康のために意識していること、毎日を自分のペースで過ごしていくコツについてお聞きしていきます。

 今回お話を伺ったのは、インフォバーン代表の小林弘人さん。ワイアード・ジャパンやサイゾーを創刊したり(同誌は2007年に事業売却)、ギズモード・ジャパンを立ち上げたり、大学で教鞭を執ったりと幅広く活躍されていらっしゃいます。

 小林さん、「人生で今が一番強いと思います」ってどういう意味ですか?


この光景は……!?

「酸素カプセル」からなぜか格闘技の道に

――人づてに聞いたんですが、小林さんはキックボクシングをやっておられるとか? 本当ですか?

 本当です。現在、2つのジムに通ってトレーニングしています。ほかに筋トレもやっています。この歳になって初めて自分の腹筋を見ました(笑)。ここ5年ほど、病気知らずですごく健康です。

 きっかけは、ジムに酸素カプセルが置いてあって、自分はそこの「酸素カプセル会員」でした。もともと「酸素カプセルは二日酔いが取れるよ」って聞いて足を踏み入れたのが始まりです。格闘技には特に興味はありませんでした。そのジムにたまたま酸素カプセルがあったから行っただけ。なのに、気がついたらグローブをはめて殴ったり殴られたりしていたという……。


Web上に留まらず、多方面でご活躍されている小林さん。心なしか、服の上からでもがっちりした体型が分かる

――ち、ちょっと待ってください、何が起きたんですか(笑)。

 キックボクシングを始める前は、ジョギングやヨガをかじる程度はしましたが、ろくに運動していなかったです。学生時代もアスリート系の部活とは縁がなかったし、社会人になってからも特に何も。仕事で飲み会や接待がよく入るようになって、腹が出てきて、なんとかしないとなぁって思い、ちょこちょこ始めてはやめるという繰り返しでした。

――いきなり格闘技を選ぶなんて、無茶すぎません?

 なぜキックボクシングにハマったのかは、正直よく分からないです。性に合っていたとしか説明のしようがないですね。入会してすぐに、マススパーリングをさせてもらいました。

※マススパーリング:実践形式の打撃を伴ったスパーリングのこと。

 ジムの会員同士が適当に組み、いきなりの殴り合いは最初衝撃的でしたね。ヘッドギアはせず、マウスピースだけ。グローブは16オンスと重めではありますが、当たれば痛い。ちなみにプロは8〜10オンスです。キックボクシングなので蹴りもあります。時々、アッパーを食らって、顎が開かずに食事できなかったようなこともありました。


ジムでのトレーニング風景

小林さん相手に指導を行うのは、総合格闘家・美木航(わたる)氏。美木氏が主催するジムで小林さんは格闘技に開眼

――ふつー、そこでほとんどの社会人は辞めちゃいますよね。

 ですよねぇ。でも、僕は楽しくってハマってしまった。通っているジムは、MMA(Mixed Martial Arts)を教えています。MMAとはいわゆる総合格闘技でして、打撃(パンチ、キック)のほかに、投げ技、固技(抑込技、関節技、絞め技)など、多種多様な攻撃法で闘う種目です。キックボクシング以外に、寝技やタックル、その防ぎ方、パウンディング(マウントポジションからのパンチ)も習っていました。

――キックボクシングを覚えるだけでも大変でしょうに。総合格闘技までやるなんて……。

 がんばって習得しようとしたんですが、難しいですね。技が多すぎるので、自分はチョークスリーパーか、ギロチン、アームロックだけに絞りました(笑)。寝技は持てる力をすべて出し尽くすので、始めたばかりの頃は、PCのマウスを握った指が震えてきちんと操作できませんでした(笑)。

 週2回以上、仕事後や休日に1〜2時間トレーニングする生活を続けています。ただ、今は寝技はやらずに、キックボクシング一筋。というのも、限られた時間のなか、さすがにすべてはやりきれない。周囲は寝技のほうが歳を取っても続けられるよと言いますが、自分の場合、寝技のほうが危険な香りがします(笑)。打撃中心のキックボクシングは傍から見ていても「苦しそうだな」「倒れそうだな」ってのが分かりますよね?

――ええ、素人目にも「そろそろKOされそう」とか、分かりますね。

 ところが絞め技や関節技は、やっている当人らは全力でパワーをぶつけあっているにも関わらず、ハデな動きがないので第三者からは分かりにくい。相当しんどいです。特に自分は体がもともと硬いので、全力を出すほど事故が起きやすい(笑)。寝技で肋骨にヒビが入ったこともありましたしね。


「一見地味に見える絞め技の方がヤバいです」

今年初めて試合に出場。相手は20歳の若者

――でも、キックボクシングは継続中なんですよね。

 実は今年、生まれて初めて試合にも出場しました。もちろん、ガチンコの真剣勝負です。同年代のジム仲間に何度も「面白いよー、小林さんも出場しなよー」と誘われたのがきっかけです。その人はもう試合に出ていませんが(笑)。やってみて、これまでなんでもっと早くやらなかったのかと後悔しています。

 初試合の相手は20歳くらいの大学生。ところがこちらは試合前に足にケガをしてしまい、無理を押して出場したので、キックボクシングの大会なのに足が全然使えない状態で。

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