遺伝子検査は一体何を調べられるのか?
最近手軽にあつかえる遺伝子検査キットが出回るようになり、「遺伝子」という言葉をよく目にします。この遺伝子やDNAとは一体何でしょうか? 遺伝子を調べるとは一体どういうことなのでしょうか?
遺伝子とは人の設計図のようなもの。その設計図が書かれた物質全体をDNAと呼びます。設計図が違えば建物が変わるように、人は遺伝子の違いによって個人が生まれます。目が青かったり黒かったり、髪がカールしていたり、ストレートだったりするのは、遺伝子が違うからです。でも全ての遺伝子が違っているわけではありません。人は99.9%同じ遺伝子配列を持っており0.1%だけ遺伝子の違いがあります。この0.1%の違いが個人差を生み出しているのです。
なぜ遺伝子を検査するといろいろなことが分かるのか?
最近流行り始めた自宅でできる遺伝子検査というのは、このわずかな配列の違いやそこに書き込まれている「文字」の違いを解析することで、個人差を調べています。血液や唾液から遺伝子を解析することができ、この違いで特定の病気にかかりやすいかどうかとか、体質の傾向などが分かります。
現在はどんな人が遺伝子検査を利用しているのか?
遺伝子検査というと、まずお母さんのお腹の中の胎児におこなう出生前診断があります。染色体検査によって先天性異常をある程度診断できるとのことで、高齢出産など先天性疾患のリスクが高い場合などにおこなっています。
一方で最近では、自宅で簡単にできる遺伝子検査キットが急速に普及しはじめています。30代〜40代男性で健康への関心の高い方、また自分の体質を知ってダイエットに利用しようという女性も増えてきました。
もともと遺伝子検査は医療現場でよく活用されており、治療方法を選択する際の体質チェックなどで積極的に活用されています。薬の効きやすさ、効きにくさの個性を調べる「薬剤応答」という検査によって、より個々人にあった治療法を選択することができます。今後研究が進むにつれ、将来かかりうる病気を予測するサービスなど、遺伝子検査を利用したさまざまなサービスが登場してくることでしょう。
遺伝子検査でできること、できないこと
遺伝子検査で分かることは、あくまでも遺伝的な傾向があるかどうかということです。糖尿病や高血圧などの生活習慣病、脳卒中、認知症、骨粗しょう症などは、遺伝的要因と環境的な要因がからみあって発症します。そのため、遺伝子を調べると全てが分かるというわけではありません。遺伝的なリスクを理解し、リスクが高い疾患がある場合は、それに合わせた生活習慣の改善を行うとよいでしょう。
また、疾患とは別に、体質傾向や能力を遺伝子検査で調べることも可能です。肥満傾向、アルコールへの耐性、薄毛のリスクなどの体質傾向は、食事や生活習慣に気を付けることである程度は防ぐことができるでしょう。知力、音楽、スポーツなどの能力傾向が分かれば、さらに能力を引き出す手助けや職業の適性判断に役立てることができるかもしれません。
ただし、遺伝子検査の結果が絶対という保証はどこにもありません。医学的にもまだまだ研究過程であり、見解はいろいろあります。遺伝子検査は、あくまでも遺伝的傾向を知り、将来に役立てるためのものです。分かること、分からないことをしっかりと理解し、遺伝子検査を活用するとよいでしょう。
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