排泄予知ウェアラブル「D Free」 超音波で腸内を分析、子育てや介護を支援妄想ウェアラブルの午後

“排泄予知ウェアラブル”として先日発表され、Web上で話題を呼んだ「D Free」。“Wi-Fiルーター”にも見えるスタイリッシュなデザインが特徴だが、その正体とは――。

» 2015年03月12日 06時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
排便予知ウェアラブル「D Free」

連載:「妄想ウェアラブルの午後」とは

近年急速に普及し始めたウェアラブルデバイス。腕時計型やメガネ型などさまざまな種類が登場してきているが、それらが「人々の生活をどう変えるか」についてはまだまだ議論の余地が残されている。本連載では、製品のスペックや機能比較にとらわれず、ウェアラブルの正しい(?)未来を「妄想」することに全力を注ぐ。


 D Freeは、ベンチャー企業「トリプル・ダブリュー・ジャパン」が専門家の協力を得て開発中のウェアラブルデバイスだ。特徴は、腹部に装着すると超音波で腸内の動きを分析し、「あと10分です」といったように排便までの時間をスマホ経由で知らせてくれること。

 “D Free”とは、“Diaper Free”、すなわち“おむつからの解放”を意味しているという。5月を目途にクラウドファンディングサイトで予約を開始し、出荷は12月を予定している。現在はFacebookページ(こちら)などで製品に関する情報発信や意見交換などの交流を行っている。

 今後D Freeが実用化されれば、病院や介護施設はもちろんのこと、一般家庭でも便利に使えるだろう。予期しないタイミングでの排泄リスクを避けられることで、恩恵を受ける人の数は計り知れない。将来的に赤ちゃんやペットなど、言葉での意思疎通が難しい相手にも対応することができれば、用途はさらに広がると考えられる。

動画が取得できませんでした
D Free
スマホで排泄までの残り時間を確認

 本記事ではさらに一歩進んで、D Freeが社会に広く普及した近未来を妄想してみよう。

「トイレ休憩」を巡る情報戦

 D Freeを着ければ、デート中も安心だ。万が一のときも、D Freeがトイレに行くべき時間を知らせてくれる。余計な心配をせず、おいしい料理を食べてゆっくりと会話を楽しむことで、恋人との仲が深まるかもしれない。

 ビジネスの世界ではどうだろうか。「これから大事なプレゼンがあるのに、急におなかが……」そんなリスクを回避できるのはやはり心強い。一方で、「集中力が落ちてきたから、トイレでしばらくリフレッシュしてこよう」という、現在では当然のように行われていることが、もしかするとやりづらくなってしまうかもしれない。

 ランチをともにした上司のスマホには、あなたが食べたメニューの消化時間が表示されているのだ。そして、「待ちたまえ。君のトイレット・ブレークはまだのはずだが?」とチクっと指摘され、席に戻される――なんてことにもなりかねない。仕方ないのでこちらも上司のトイレタイムをチェックし、彼が席を外している最中に別の場所で休憩する、といった高度な情報戦が繰り広げられるのである。

トイレ待ちの“長い行列”も心配なし?

 ライブイベントやスポーツ観戦の会場はどう変わるだろう。現在では、休憩時間中はトイレ前に長蛇の列ができるのが一般的。一度並ぶとなかなか順番が回ってこないため、苦い経験をもつ方も多いだろう。もし、並んでいるときに我慢の限界に達したら――。そんなときは時間の進み方が通常の10倍くらいの長さに感じられるものだ。

 近未来では、その心配はなさそうだ。トイレに並んでいる人は、専用のバンドを使ってスマホを腕に装着し、自らの“残り時間”を周りに公開する。もし、自分よりも余裕がない人が後ろに並んだときには、そっと順番を代わってあげよう。もし我慢の限界が近づけば、ボタンひとつで係員が飛んでくる。そして「あと30秒、緊急事態です! 道を空けてください!」と、列の一番前まで誘導してくれるのだ。

 こうすれば、自然と譲り合いの精神が生まれる。たまに見かける“順番抜かし”によるトラブルも少なくなるだろう。D Freeのおかげで、世界から争いごとが減っていく――今日もどこかの家庭で、どこかのオフィスで、どこかのイベントホールで起こっているはずの小さな、しかし当人たちにとってはこの上なく重大な争いごとが。

恥じらいと引き換えに得るもの

 最近続々と発売され、ブームになりつつあるウェアラブルデバイスは、“自らを高める”ことを目的とするものがほとんどだ。スポーツ時に身に着け、心拍数を測る。もしくは、消費カロリーを測る。こういった機能は、理想的な体型を手に入れるためや、運動能力を向上させるために存在する。日常的にスポーツをしない人々は、今のところこれらのデバイスを手に取る理由を見つけづらいかもしれない。

 その一方で、D Freeは肩肘張らず、気楽に身に着けることができる。普段は恥ずかしくて口に出せない話もちょっとオープンになり、ときとしてクスッと笑える。おまけに譲り合いの精神が定着し、争いも減るときている。このデバイスが定着した未来はきっと、穏やかな幸せに包まれているだろう。

 だが、“何かを得るためには、何かを失わねばならない”のは世の常だ。未来の人々は幸せを手に入れる代わりに、ほんの少しの恥じらいを捨てる必要があるのかもしれない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」