「睡眠薬」を使えばコロッと眠れる? だが夜更かしは治らず……眠りの達人への道

快眠を求めて試行錯誤の本連載。寝つきの悪さ、夜更かし癖を治すため、ついに「薬」の力を借りることに。睡眠薬=効き過ぎて怖い、というイメージがあった筆者だが、あれ? 効果はさほどでも……?

» 2015年03月13日 06時00分 公開
[小林誠ITmedia]

 眠りに良いとされることを毎回試し、睡眠計で計測したデータを見て「実際に効いたのか?」を検証する本連載「眠りの達人への道」。

 筆者はこれまで風邪薬を飲んで眠くなる、という体験はあるものの、「睡眠薬」というそのものズバリな薬を飲んだことはない。飲む前は「大量摂取」「睡眠薬が毒薬にすり替えられ……」という、テレビドラマや実際の事件のイメージが頭にこびりつき(最近も静岡で事件があった)、飲んだらコロッと寝てしまうものと思っていた。実際、眠気は襲ってくるのだが……思ったよりも「アレ?」な結果に。薬だから「快眠」というわけではないようだ。

睡眠薬「ネオデイ」 今回試したのは大正製薬の指定第ニ類医薬品「ネオデイ」。市販薬なので処方箋なしで購入できる。睡眠薬としての知名度は高く、この分野に疎い筆者も聞いたことはあった

やっぱり睡眠薬はクスリ! 使用上の注意はとても細かい

 相変わらずの夜更かし、そして寝つきの悪さ、これらが改善すれば「快眠」への大きな一歩となりそうだが、これまで試したどの方法も、寝つきの改善は難しい。たしかに眠気は襲ってくるし、1日、2日なら「快眠だ!」と思える日も出てきたが、毎日とはいかない。

 そこでクスリ=睡眠薬に頼ろう、という禁断? の方法をとることにした。なにしろ睡眠薬といえば、飲んだらコロッと眠ってしまう「超強力な」「ちょっと怖いくらい」効果があるもの、というイメージが筆者にはある。筆者がいくら夜更かししようとしても、グッスリ眠ってしまうに違いない。

 しかしそもそも睡眠薬を買おう、などと思ったことがない筆者。自由に買えるものなのか? と調べてみると意外と普通に売っている。近所の薬局はもちろん、ネット通販でも買えてしまう。

普通に買えるネオデイ。見た目は風邪薬と変わらない

 購入したのは知名度が高めの大正製薬「ネオデイ」。12錠入りで税込み748円だ。パッケージには「睡眠改善薬」と表記されており、効能は「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い」とある。まさに寝つきの悪さに悩んでいる筆者に最適ではないか。

 ただし薬だけあって、使用上の注意は細かい。妊婦さんはダメ、15歳未満の人もダメ、日常的に不眠の人もダメ、不眠症の診断を受けた人もダメなどなど……。

やはり薬だけあって、注意は細かい。パッケージだけを読むと、飲むタイミングが分からないが、説明書に「就寝前に」と書かれている

 副作用が出る場合もあるらしく、皮ふに発疹やかゆみ、めまいや頭痛、倦怠感や排尿困難などなど……。実際に睡眠薬を試してみたい人はきちんとパッケージを確認して購入してほしい。もちろん、睡眠薬だからクルマの運転前や機械を操作する前に飲むのもダメだ。

 さて筆者の場合、睡眠で悩んではいるが不眠とは違うので、服用は大丈夫そう。しかし不眠症の人もダメとは意外。もちろんそこまで酷い人は医者の診断を受けるべきだろうけど。また、子どもが飲めないのも盲点。受験生が「しっかり眠るために飲む」なんてことには使えないのだ。

 説明書によれば成分は「塩酸ジフェンヒドラミン」。「脳におけるヒスタミンの作用をおさえ、眠気をもよおします」とのこと。抗ヒスタミン剤ということになる。「抗ヒスタミン剤」と言えば、この時期花粉症を抑える薬として知られている。また風邪薬でも聞く。とりあえず一般的な薬の成分を使っているようで安心。

眠気は強いが「バタリ」はなし 筆者に倦怠感が発生

 子どもは飲めないので、用法・用量は「大人(15歳以上)」が1回2錠、1日1回。つまり12錠748円なので、1日125円ほど。これでよく眠れるなら安い買い物だろう。

 味はごく普通の錠剤。大して苦くもない。筆者は説明書にある通り、布団に入る直前に飲むことにした。もっとも、初めは「すぐに眠ってしまう」というイメージがあり、布団以外の場所にいると「突然眠り、倒れてしまうのではないか?」と恐れていたのである。実際は眠気を我慢できるし、倒れることもない。

 1週間のうち6日間ネオデイを飲んで気づいたことが以下の通り。

睡眠薬「ネオデイ」で気づいたこと
  • 簡単
  • 安い
  • 眠気はくる
  • すぐには眠らない
  • 夜更かし可能
  • 副作用らしきダルさ

 ネオデイを飲む前の筆者の不安はすべて杞憂だった。少なくとも用法・用量を守れば、眠気は襲ってくるが、いきなりバタリと眠ることはない。

 この「眠気」だが、かなり強力ではある。たとえば筆者は風呂に入らずに寝ると不快になり、大抵夜中に起きるのだが、ネオデイを飲んでいれば朝までグッスリ眠れてしまう。

 一方でこの眠気、強いのは間違いないが、ある程度夜更かしは可能だ。筆者はネオデイを飲んでから2時間程度は起きていられた。いや、快眠を目指しているのでそれではダメなんだけど……。

 また何度か感じたことだが、朝起きたときにダルさが強い印象。説明書にあった「倦怠感」はこのことだと思う。普段は快眠とほど遠いものの、ダルさを感じることはあまりないので、少々気になった。やはり人によって薬が合う、合わないはありそう。

睡眠薬を使っても平均睡眠時間は短い! 夜更かしの理由は?

 眠気が強いのでぐっすり眠れた日もあったが、夜更かしを止めることはできず。それが筆者とネオデイの1週間だった。実際、この1週間の睡眠をオムロンの睡眠計「HSL-101」で計測しているが、その結果でも明らか。

 以下は、睡眠計と連携するスマホのアプリ「ねむり体内時計」で確認したデータ。1週間の平均睡眠時間は17分短い結果に。

  • 通常時の睡眠時間……平均5時間47分
  • 今回の睡眠時間………平均5時間30分

 1週間の睡眠時間のグラフを見ると、寝つき(濃い青い部分)はむしろ悪化。たしかに眠気は強いが、夜更かしを止めるほどではない。

(左)通常時。(右)今回。オートで計測されるので、実際はもっと遅くに布団に入っていることもあるが、寝つき(布団に入ってから眠るまで)の時間に2時間以上かかっている日も……

 また、今回は「ネオデイ」の効果がどれほどのものか、試してみるつもりだったので、筆者がいつも以上に「夜更かし」を頑張ってしまったかもしれない。

 最後に、この1週間の睡眠のタイプを、確認してみる。アプリの「ねむり体内時計」で確認する。1週間の睡眠から「ねむりタイプ」を判別してくれるのだ。タイプは9種類の動物にたとえて表す(ベストはヒツジタイプ)が、筆者は今回「夜はきっちりフクロウタイプ」に。夜更かし対策のため睡眠薬を飲んだのに「夜更かし気味」と診断されてしまった……。

(左)通常時に診断された「キリン」タイプ。(右)今回の「フクロウ」タイプ。起床時刻はベストだが、寝つきは全然良くならない

 睡眠薬でもダメとは、ちょっと自分の夜更かし癖が怖くなる。なぜ夜更かしをしてしまうのか、といえば「これで1日が終わるのはもったいない」と感じてしまうからだ。もっと起きてWebを見たい、漫画を読みたい、テレビや動画を見たい。

 もうひとつ、明日起きて仕事が始まるのが憂うつだから。その前にせめて好きなことをさせてよ、と夜更かしをしてしまう。ほかにも筆者がスマホ中毒なのかもしれないし、あるいは疲れるほど仕事をしていないのでは? とも考えられる。こんな気楽な文章を書いていても、将来への不安だって人並にある。

 そんな風に理由を挙げていくと、筆者に必要なのはリラックスして気楽に寝ることではないかと思う。……強引かもしれないが、過去この連載で効果があるように感じたのは、朝の運動や照明を変えたとき。やはりリラックスしているように思う。

 となれば「アロマ」を使ってみてはどうだろうか?

 香りでリラックスができれば自然と眠れるかも。というわけで次回はアロマテラピーどころか香水にすら「一切興味も関心もない」男が、アロマで快眠を目指す。果たして上手くいくのか。いや、こういう意外な方法が成功するかもしれない。期待してほしい。

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