「記憶」ではなく「記録」に頼るんです――心理学ジャーナリスト・佐々木正悟さん

各界で活躍し「周りが放っておかない人」に生活習慣や健康のコツを聞く本連載。心理学ジャーナリストの佐々木正悟さんが、健康な毎日を継続できる理由とは?

» 2015年04月14日 06時00分 公開
[中山順司ITmedia]

 どんな世界にも「周りが放っておかない人」というのが存在します。周囲を巻き込む能力が高く、常にいくつもの仕事を抱えていて、それでも忙しそうな素振りは見せずに遊びにも全力で取り組んでいるように見える人たち。本連載では、そんな「引っ張りだこな人々」に、普段の生活習慣や健康のために意識していること、毎日を自分のペースで過ごしていくコツについてお聞きしていきます。

 今回お話を伺ったのは、心理学ジャーナリストの佐々木正悟さん。根っからのライフハッカーなので、さぞかしシステマチックかつムダの削ぎ落とされた健康習慣をお持ちに違いありません。佐々木さん、「やる気に頼っていては継続できない」ってどういう意味ですか?

ライフハックブロガーとしても有名な、心理学ジャーナリストの佐々木正悟さん ライフハックブロガーとしても有名な、心理学ジャーナリストの佐々木正悟さん

6歳からGTDを始める

――小さな頃からライフハッカーだったんですか?

 子供のころはメモ魔でしたね。6歳の頃から手帳を使っていました。

 親からもらった年玉(ねんぎょく)手帳※に嬉々として書き込んでいまして、たとえば家族旅行に出かけたらそこでの予定や出来事を書き込んだり、現地で何をするかをいちいちメモする……そんな変な子供でしたね(笑)。親には「そんなことしなくていい」と言われましたが、好きで辞められませんでした。

※企業が自社で制作し、年末年始などに社員に配る手帳のこと。お年玉のように配られることから。

――「三つ子の魂百まで」のようなお話ですね。

 小学生のときに富士通のFM77AVを買ってもらったり、F-BASIC(エフベーシック)というBASIC言語を触ったりもしていました。たぶん、ガジェット好きな性格が当時からあったんでしょう。

 とにかくキレイに記録することが大好きだったんです。小学生の頃は先生からのいいつけを忘れて、よく叱られたものですから、忘れることを極度に恐れていたという部分もあったかもしれません(笑)。

三度三度の食事を写真記録する

――健康面ではどんなお子さんだったんですか?

 子供の頃は病弱だったんです。喘息やアトピーに悩まされた幼少期を送っていまして、幼稚園時代は半分は休んでいたんじゃないかな。薬ばっかり飲まされていました。中学生になってようやく人並みになってきましたね。とはいえ、月に1回くらいは病気で休んでしまっていました。親はさぞかし心配したと思います。

 心配した親が水泳教室に通わせたんですけど、逆に身体を冷やすことになって、健康改善の効果はほとんどなかったです(笑)。

――今はどんな健康習慣があります?

 体重は毎日欠かさず計測します。それと血圧、体温も。体の変調に如実に現れるので、健康のバロメーターですね。私の場合は体温を下げることが良くなくて、なるべく体温を高く維持する工夫をしていますね。

 使っているのはごくふつうのアナログな機器で、Wi-Fi連携などはしていません。あとは、ハードじゃない運動をしたり、お風呂に入ったり。一時期、温泉めぐりばかりしていたときもあったくらいです。

 三度三度の食事は写真を撮って「Taskuma」(たすくま)というタスク管理アプリに記録しています。「毎日やったことを時間付きで記録して、その記録を翌日以降に役立てる」ためのタスク管理ツールです。

Taskumaを使ってEvernoteに記録
以前はiPhoneアプリ「Evernote food」を使っていたが、今はTaskumaでの記録に落ち着いたという

食生活の“違反度”を可視化する

――三度三度の食事を写真で記録……何のためにですか?

 血糖値を上げないことが一番の目的。何を食べたか記録し続けることで、体調にちょっと違和感があったら以前の食事メニューを見て、「あ、これが原因だな。気をつけなくっちゃ」と自分の食生活を戒めるんです。食生活の“違反度”を可視化してくれるツールのような位置付けです。

 血糖値はさすがに毎日は計測しないですね。血糖値計を皮膚に刺さないといけないのが痛くてイヤなので。でも、食事管理をしっかり実践しているので、日々計測する必要はないです。

 ちなみに砂糖類はほぼ食べないですね。米もまったく食べません。あとは芋類、キャベツ、タケノコ、果物もゼロです。キャベツやタケノコがどうも私の血糖値に関係しているようなので、食べないように気をつけています。中華料理屋ではメニュー選びにちょっと難儀しますね。

種類にもよるが、基本的に野菜はたっぷり摂る

米の味が思い出せない

――米や芋やキャベツの味が恋しくならないですか?

 いやー、15年ほどこんな生活を続けていますので、もはや味すら思い出せないです(笑)。

 野菜をたくさん摂るために、野菜ジュースを作って毎朝飲んでいます。小松菜、シソ、セロリ等をフードプロセッサーに突っ込んでの手作りジュースです。レタスやトマトを入れることもあります。

 トマトは私にとってはフルーツのようなものなので、ひんぱんには食べないです。小松菜は昔は嫌いでしたが、今は好きになりましたね。市販されている青汁なんて、私に言わせれば全然まずくない。むしろほのかに甘みがあっておいしいくらい。

 別にベジタリアンというけではなくて、肉は豚、鶏、牛なんでも食べます。でも、揚げ物にはせず、煮たり焼いたりすることが多いです。ちなみにフードプロセッサーは部品がバラバラに解体できるタイプがオススメ。掃除がしやすくてメンテが楽です。

普段野菜ジュース作りに使っているフードプロセッサー

嗜好品はチェダーチーズ

――そんな生活してると、イヤでもやせますよね?

 身長が168センチに対して体重が52キロなので、けっこうやせているほうでしょう。マックスでも60キロを超えたことがないです。というか、人生で一度も太ったことがないんですよ。今は、体重が50キロを割らないように注意しています。

 27歳くらいの頃にこの生活に切り替えたんですが、最初はキツかったですよ。それまではお酒も好きだったし、好きなものを食べていましたから。今の嗜好品はコーヒーとチェダーチーズですね。もちろんコーヒーはブラックで。

――世の中のダイエッターがうらやむようなことを言いましたね……運動は?

 昔はテニスを少々。でも、今はウォーキングです。毎朝歩きますね。5時に起床して日が登り始める時刻に家を出て、1時間(4〜5キロ)ほど歩きます。歩いたら写真も撮影して、これも記録として残しておきます。自宅周辺は坂が多いので、歩くだけでもいい運動になりますね。

毎日のウォーキングも写真で記録しておく

すべては因果律のままに!

――なぜこんなストイックな生活を続けられているんですかね?

 記録し続けたことに尽きます。言うまでもなく、食と健康は密接に関係していますよね。身体によい食事をすれば自ずと健やかな肉体が得られる。記憶はあてになりません。脳は都合の良いように記憶を捻じ曲げたり、捏造しますので。そのためにも、客観的な事実を記録するんです。すべては因果律というやつですね。

――い、因果律……! ベルセルク以外ではほぼ耳にしない非日常ワードが飛び出しましたね。

 継続するには、記録しなくちゃならないんです。記録がなければ、継続できません。三日坊主で悩む人は、継続できないと嘆くんじゃなくて、まず記録をすればいい。そうすれば続けられます。

 やる気は有限リソースですから、「やる気」で常にどうにかしようって考えちゃダメなんですよ。やる気はいくらでも湧いて出てくるものではないので、それに頼ってはダメです。まずは記録し続けるところから。そうすれば、自然と継続できるようになります。6歳から記録し続けている私が言うのだから、間違いありません(笑)。

情報収集はむしろしない派

――やる気は有限リソース……! ところで、佐々木さんってライフハックの鬼だから、さぞかし情報収集しているんでしょう?

 いえ、そんなことありませんよ。情報収集をルーチンタスクに組み込んでいないです。ですから、SNSで流れてくるバズった動画やおもしろツイートを見たり、RSSリーダーで無数のメディアを縦横無尽に読みまくったり……とかは一切しません。

 もちろん、寝室にもガジェット類は持ち込みません。目覚まし時計すらなくって、起きるべき時間に自然に目が覚めますよ。毎日充分な時間寝ているからですけど。

 必要な情報は、必要なときに、必要なだけ収集すればいいと思っているので、自分から無目的に情報をとりに行くことはないですね。それに、情報収集に長けた方々が周囲に多いので、その人達から教えていただくだけで十分です。

――なるほど……私も、枕元でiPad miniをニヤニヤしながら眺める生活にピリオドを打とうと思います! ありがとうございました!

佐々木正悟さんの3つのコツ

1. 行動を継続したければ、まず記録から始めよ。

2. やる気は有限リソースである。浪費するべからず。

3. すべては因果律にあり。

中山順司(なかやま じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ちょっぴり健康が気になって、自転車でも始めようかなとお考えの方が、「こんなコンテンツが読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。


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