人見知りが「あぁ、われわれは友人ではないのだな……」と思い知らされる10の瞬間(1/3 ページ)

» 2017年02月18日 06時00分 公開
[中山順司ITmedia]
人見知りの達人

中山順司(なかやま・じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するオッサンブロガー。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。freee株式会社勤務&経営ハッカー編集長。ブログ「サイクルガジェット」運営。


 人見知り歴45年になる私には、もともと友人と呼べる人がほとんどいない。学生時代に築いた数少ない同性の友人が数名いるだけ。社会人になってから、一人として「真の友人だ」と断言できる相手ができたためしがない。

 ボッチ耐性は人一倍強いつもりだが、そんな自分でも、かろうじて「あ、もしかして、われわれは友人なのかも?」と期待させる相手に巡り合うときはある。成人してからだって、肩を組み、友と呼びあえる人間関係を構築できるのだと思う瞬間がある。

 しかし、その期待はことごとく裏切られる。「あぁ、われわれは友人ではないのだな……」と思い知らされる10個の瞬間を挙げてみよう。

1. 敬語でしか話せない

 どんなに長年付き合っていても、敬語でしか話せない。自分が胸襟を開き、歩み寄らないと、相手もそうはしてこない。よって、いつまで経っても知人以上、友人未満の関係から脱できないのだ。

 たまに、「このままではいかん! もっと親しみを出していかねば!」という気分になり、勇気を出して、「友人風っぽい」言葉で呼びかけたり、語尾をフランクにして距離を詰めようとすることもある。

 「〜ですよね」を「〜だよね」にしたり、「〜じゃないでしょうかね」を「〜じゃないかな」ってな具合い。

 しかし、相手には「ぐいぐい来てるな……」とは思われたくないので、かろうじて敬語っぽさをにおわせることで保険はかけておく。敬語→フランク→敬語→敬語→敬語→フランク→敬語……といった感じで、時々忍び込ませるのだ。相手からすると、「あれ? いま一瞬フランクになった? でも、敬語に戻ってるし……気のせいかな」くらいにしか感じさせない効果が期待できる。

 こちらは、フランクな表現を織り交ぜつつも、相手の反応を観察することも怠らない。ちょっとでも不自然な反応を感じ取ったら、すかさずフルモードの敬語に戻す。

 刷り込み効果によって、いつの間にか距離が近づく……ことを期待しているが、この方法で友人になれた試しがない。

 語尾を意識しながら会話をしている時点で、「あぁ、われわれは友人ではないのだな」とブルーな気持ちになる。

2. 突如訪れる、沈黙の恐怖

 しゃべりながらも、常に次の話題のサーチのために脳内メモリを確保しておくつらさ。

 人との会話中、人見知りがもっとも恐れるモノ。それは沈黙である。一度沈黙してしまってからの会話のリブートは至難の業。そうならないために、会話のネタは常に仕込んでおく必要がある。

 「仕事のことを聞いて、趣味の話題を振って、最近見た映画を訊ねてみよう、さらに家族のことを聞けば、なんとか間を埋められそう……まてよ、家族の話題を振ったらなれなれしいやつだと思われるかもしれん。家族ネタはやめておこう。じゃあ何を話そうかな……無難に趣味かな……」

 ってかんじ。

 短時間の会話だと分かっていれば、数個の話題で乗り切れる。問題は長丁場のケースだ。

 クルマや新幹線等で長距離を移動しなければならない場合、前日の晩から話題のネタを準備しないと、心穏やかに眠れないのだ。何しろ、密室である。逃げ場がない。新幹線であれば時々腹痛のフリでトイレに逃げることもできるが、その技は連続で使うわけにもいかない。

 クルマは完全な密室だ。十分に親しい相手であれば、ラジオやCDでも流して無言のままでも問題ないが、友人未満であれば話し続けなければならない(と思い込んでいる)。

 1時間を越える長丁場の場合は、事前に話題をリストアップしていくことに加え、リアルタイムの会話の中で新しいネタを考える。会話と同時進行させねばならないので、脳内メモリが著しく消費させられ、心がすごく疲れる。会話を楽しむどころではない。

 沈黙を恐れ、話題リストを脳内で反芻(はんすう)して準備してしまう時点で、「あぁ、われわれは友人ではないのだな」と哀しい気持ちになる。

3. 相手の欠点を教えることのリスクを考えてしまう

 相手の欠点を指摘してあげることが本当の優しさであると分かっていても、恨みを買うリスクを天秤(てんびん)にかけてしまい、無言を貫く。もしくは見て見ぬふりをする。相手の人生よりも、自分の損得を優先している時点でそれは真の友ではない。

 子供の頃、母親に叱られるとき、「家族だから言っているのよ。大人になったら、誰もお前の欠点なんて指摘してくれないよ。叱られるウチが華だよ」と口酸っぱくいわれたことを覚えている。まさにその通りだ。

 誰が好きこのんで、反感を買うリスクを乗り越えて赤の他人の欠点を指摘してくれるものか。自分だって、まずしない。というか、社会人になって、家族以外の欠点なぞ、指摘したことがない。(自分にとって)百害あって一利なしだからだ。

 相手の人間ができていれば受け止めてくれるのかもしれないが、そのリスクをとる意味がない。

 損得を考えて人と付き合っている時点で、「あぁ、われわれは友人ではないのだな」と陰鬱な気持ちになる。

4. 議論しない、主張しない、否定しない

 相手の気分を害したくないので、議論はしないように気を遣う。本音でぶつかることのできる友人同士であれば、自己主張するし、真剣に議論しようと考えるが、そうでない時点で、「ほどほどの関係性を継続できればいいのだから、過度な主張は控えておこう」と自主規制してしまう。

 賛同できなくても、「そうですね〜」「なるほどね〜」と同意も否定もしないあいまいな言葉でごまかし、意見を求められたら一般論で逃げる。エネルギーを費やすことはなるべく避けて、不快な空気が残らないように努める。

 言いたいこともいえない間柄であると自覚した瞬間、「あぁ、われわれは友人ではないのだな」と大人の階段を一歩登ってしまった気分になる。

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