医師に聞く「意外なインフルエンザ予防法」
インフルエンザ予防法といえば、うがいや手洗い、マスク着用などが一般的ですが、近年、ちょっと変わったインフルエンザ予防の方法が発案されています。
インフルエンザが流行しています。国立感染症研究所のコメントによれば、2016年12月5日〜12月11日の週は、インフルエンザ患者報告数が前週よりも増加したとされています。43の都道府県で前週の患者報告数よりも増加が見られたとのことです。
東京都感染症情報センターの情報によれば、2016年12月12日〜12月18日の発生数は男女合わせて2576件で、前週の1675件に比べて大幅に増加しています。地域差があるようですが、冬の間はずっと油断はできません。
近年、インフルエンザ予防策のうち、意外な方法が幾つか登場しています。あわせて活用してみましょう。
監修:総合診療科 医師 横山晴子先生
2006年 広島大学医学部卒業後、総合診療科として、ERから慢性期病院、地域医療に至るまで幅広く勤務。毎日診療をする傍ら、人はなぜ病気になるのか、“症状”ではなくその本当の“原因”を追求し、一人一人の”根本”からの改善方法を提案し、毎日のパフォーマンスを上げる”健康コンサルタント”としての活動に力をいれている。
歯磨きを欠かさない
歯磨きはインフルエンザに有効だといわれています。神奈川県歯科医師会によれば、インフルエンザウイルスの表面には突起があり、それが邪魔となって細胞内に入ることができないのです。しかしその突起を切ってしまうのが、「プロテアーゼ」と呼ばれる口の中の悪い酵素です。
歯磨きをいつもきちんと行い、口の中の細菌を減らしてきれいにしておくことで、プロテアーゼの量も減らすことができます。
緑茶を飲む・うがいをする
静岡県立大学薬学部の山田浩教授は、伊藤園中央研究所と社会福祉法人白十字ホームとの共同研究において、カテキンを含む緑茶成分のインフルエンザ予防効果を実証しています。お茶に含まれる“緑茶カテキン”に、インフルエンザや風邪のウイルスの体内侵入を防ぐ力やウイルスの増殖を防ぐ力があることが分かったそうです。
また、緑茶には“テアニン”も含まれていますが、これには免疫力を上げる働きがあります。飲むのはもちろん、緑茶を用いたうがいでもインフルエンザの予防効果があるといいます。
梅干しを食べる
和歌山県立医科大学(和歌山県和歌山市)の宇都宮洋才准教授によると、梅干しに含まれる“梅酢ポリフェノール (エポキシリオニレシノール)”がインフルエンザウイルスの増殖を抑え、感染力を弱める力があることが分かっているそうです。「1日に梅干しを5粒ほど食べれば、ウイルスの抑制を期待できる」とされています。
- 参考:紀州梅効能研究会
「あいうべ体操」を行う
みらいクリニック院長の今井一彰氏が考案した「あいうべ体操」も、意外なインフルエンザ予防法として有名です。この体操は、口を動かす体操で、「免疫を高めて病気を治す効果がある」といわれています。
小学校で実施したところ、インフルエンザが激減したという事例もあるそうです。これは、口呼吸から鼻呼吸にすることが目的といわれています。
「あ〜」「い〜」「うー」と口を大きく開けて発声し、「べ〜」では、舌を突き出して下の方向へのばします。いずれも思い切り大きく口を動かし、べ〜でも思い切り舌を突き出し、少し舌の付け根が刺激を感じるところまでやったほうが効果的だそうです。一日30セットを2〜3回行いましょう。
- 参考:あいうべ体操のブログ
これらの方法は、必ずしも誰もが同じような効果が得られるとは限りません。また、試してみる場合には、事前に公式サイトや書籍などの説明事項を読み、理解した上で実施してみてください。とはいえ、あくまでインフルエンザ予防の基本は、日々の体調管理やうがい、手洗い、マスク着用です。その上で、新たな方法を試してみるのをおすすめします。
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