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「Android Wear 2.0」でスマートウォッチがスタンドアローン化すると何が起こるか“ウェアラブル”の今(1/2 ページ)

Googleが今秋、ウェアラブルデバイス向けOS「Android Wear」のメジャーバージョンアップを行うと発表し、その機能の一部をGoogle I/Oで披露した。人工知能を活用した「Google Assistant」など、ウェアラブルデバイスの未来を変えうる新しい技術が目を引いた。

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 Googleが2016年5月18日からの3日間、米国カリフォルニア州マウンテンビューで、年次開発者会議「Google I/O」を開催した。今回はGoogleキャンパス周辺にある屋外劇場を会場とし、さわやかなシリコンバレーの気候を満喫しながら、Googleが披露する最新の技術や開発環境を学ぶ場となった。

 Googleは、基調講演の中で、人工知能を活用した対話型のサービス「Google Assistant」と、これを活用する新たな製品である、音声デバイス「Google Home」、そしてチャットコミュニケーションアプリ「Allo」を披露した。またAndroid Nのプレビューや、ChromebookでのAndroidアプリ実行が可能になること、2017年にモジュール型で機能を構成するスマートフォンAraをリリースすることなどもアナウンスした。

 その中で、ウェアラブル向けのOSであるAndroid Wearについても、バージョン2.0を披露した。Android Nをベースとした新たなOSが目指すことは何であろうか。

Android Wear 2.0の3つのフォーカス

Android Wear 2.0
「情報」「人々のつながり」「健康」という3点にフォーカスしてAndroid Wearをアップデート

 GoogleはAndroid Wear 2.0へとアップデートするウェアラブルOSにおいて、「情報」「人々のつながり」「健康」という3点に注目したという。これら3点を実現するために、それぞれ、「時計の文字盤」「メッセージング機能」「フィットネス機能」を改良した。

これまで本連載でも体験的にお伝えしてきた通り、スマートウォッチが担う手軽な情報取得は非常に機能的で、だんだんとスマートフォンを手に取る回数を減少させてきた。また、活動量やエクササイズの計測は、自分の日常生活の中で健康に意識を向けるきっかけを作ってくれている。

 いずれも、身に着けていることで利用できる、受動的な活用方法として位置づけられる。今回、Googleがここに「人々のつながり」、つまりコミュニケーションを加えたことは、新たな側面だと感じた。Apple Watchだけであらゆるコミュニケーションが成立したことは、この1年、まだ経験していなかったからだ。

コンプリケーションズの活用

Android Wear 2.0 コンプリケーションズ
情報をよりきめ細かく表示するため、コンプリケーションズ(Complications)を活用する

 Android Wear 2.0のプレゼンテーションでは、登場する時計の文字盤が、すべて円形をしていた。個別のメディアブリーフィングの場でも、「文字盤のデザインは円を基本にする」との話が聞かれ、四角形を採用しているApple Watchとの差別化を、明確に行っている。

 Appleは円形の情報を扱っていないことから、文字盤の形は四角が妥当だ、と考えているようだ。一方、円形を採用した「Moto 360」のヒットから学んだAndroid Wear陣営は、積極的に、丸い文字盤のスマートウォッチを拡充している。実際の腕時計の文字盤も、四角、円ともに存在しているので、どちらが正解ということはないとは思うが。

 Android Wear 2.0でより便利に情報を活用する方法は、コンプリケーションズだ。これはApple Watchでも、watchOS 2.0でサードパーティーに解放された、文字盤の中に配置する小さな情報表示領域の活用ということになる。

 こだわりを感じるのは、文字盤のデザインに追従して、コンプリケーションズもきちんとそのデザインを変化させる点だ。Apple Watchではよりシンプルな文字や記号ベースの表示にとどめることで、文字盤の中での融合を図ってきた。Android Wear 2.0ではより積極的にグラフやイラストを活用しながら、さまざまな文字盤デザインにマッチさせることができそうだ。

コミュニケーションのための入力方法の充実

Android Wear 2.0 Input
新たな入力手段として、Smart Reply、手書き、SwiftKey入力をサポート

 Android Wear搭載デバイスに限らず、スマートウォッチをよりアクティブに使いたい場合に最も障害となっているのは文字入力だ。画面の小ささは、キーボードによるタイピングを難しくしているし、音声入力についても、速度、精度、そして公共空間での対応性に問題がある。

 Android Wear 2.0では、小さな画面にキーボードを配置してのSwiftKey入力(キーボード上をなぞってスペルを認識させる)や、時計の盤面に手描きで入力するなどの機能を見せた。加えて、キーボードのAPIを開発者に開放しており、より良い入力方法が発明されることも期待できる。

 さらに筆者が期待を寄せているのは「スマートリプライ」だ。

 Android Wear 2.0のプレゼンテーションでも、返信を候補から選択する機能について説明があったが、基調講演で紹介された「Allo」は、スマートウォッチでのコミュニケーションをより実用的なものに変化させるかもしれない。

 Alloは、同時に発表された人工知能を用いたGoogle Assistantを内蔵する新しいチャットアプリだ。

 例えば犬の写真が送られてくれば、「かわいい」「おお!」といった反応から、「かわいいバーニーズマウンテンドッグだね」(犬種)といったものまで、返信の候補に挙がってくる。また、パスタの写真が送られてくれば、「おいしそう」「おいしそうなアサリ!」「おいしそうなリングイネ」と、具や麺の種類まで具体的に候補が挙がる。

 また、夕食に行こうという話になったときには、チャットの画面の中で、周辺のイタリアンレストランの候補を表示し、選択して時間を告げれば、そのまま予約が取れる。

Android Wear 2.0 Allo
Alloでは、チャットで届いた写真に合った返事の候補が自動的に表示されるなど、コミュニケーションがより実用的になる

 AlloのデモはAndroidスマートフォンもしくはiPhoneの画面を前提に行われていたが、ここまで賢いスマートリプライが利用でき、チャット画面を離れずにコミュニケーションに必要な情報を瞬時に取り入れられるのであれば、スマートウォッチでもチャットが成立するのではないか、と期待を寄せることができる。

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