「メンタルの弱さ」を解決するためには? 臨床心理士による解説臨床心理士みらーのメンタルアドバイス

» 2017年03月11日 06時00分 公開
[みらーITmedia]

 みなさんは自分に自信がありますか? この質問に「はい!」と答えられる人は意外に少ないものです。これはデータでも示されていて、平成26年版子ども・若者白書(内閣府)の調査でも、日本人は諸外国と比べて,自己を肯定的に捉えている者の割合が低いというデータもあります。

 とはいえ、自分に自信がないと、人前に出たときに緊張したり、おかしなプレッシャーを感じてしまったり、行動を起そうとしてもなかなか踏み出せなかったりと良くない影響があります。では自信というのはどうやってつけるものなのでしょうか? 今回は“自信”についてのお話です。

臨床心理士みらー プロフィール

みらー

 大学院終了後、専門学校の非常勤講師および、高校のスクールカウンセラーを勤め、同時期に教育機関での心理相談員および不登校対策事業の心理相談担当を歴任。

 現在は悩み相談掲示板サイト「ココオル」で相談員を務めるほか、活動領域を青年期支援に移し、地域若者サポートステーションにて若者支援も行い、年間のカウンセリングは1000件以上行い、相談支援に定評がある。


自信のもと“自己効力感”って何だ?

 自信はどうつけていけばいいのでしょう? カナダ人の心理学者アルバート・バンデューラは、自信につながるものとして、「自己効力感」という概念を提唱しました。自己効力感とは自分への信頼感や有能感のことで、簡単に言うと「なにかをするとき、その対象に対して『自分ならできそうだ』と思える感覚」のことです。

 何か行動をするときに、自己効力感の高い人は「やってみよう」と思うことができ、実際に行動できますが、自己効力感が低い人は、「これはできないかもしれない」と思ってしまってなかなか行動に移せないということがあります。自信というのは、自分で自分の能力や価値などを信じることですから、この自己効力感はまさに自信と直結しているものと言えます。

自己効力感を手に入れるための4つの方法

 バンデューラは、この自己効力感を高めるためには4つの要因があると言います。以下で1つずつ見ていきましょう。

(1)実際に行動して、成功体験を持つ(個人的達成)

 私達は、ある行動をしたときにうまくいくと、達成感と、これができたという感覚を感じます。その後に同じ行動をしてうまくいけば、この感覚はさらに強くなります。そうすると「またできるだろう」という気持ちが強くなり、自己肯定感につながってきます。この“個人的達成”は、自己効力感を高める上で最も強い要素といわれています。

 まずは簡単なことからでいいので、自分ができたと思える行動を繰り返すことで、自己効力感につなげることができます。

(2)他人の行動を観察する(代理学習)

 みなさんは誰かが行動するのを見て、「これなら自分でもできそうだな」と思ったことはありませんか? これが“代理学習”です。特に、相手が会社の先輩や上司のような、自分と似たような状況だったり、同じような目標を持っていたりする場合には、代理学習の効果はより強くなります。

 そのため、自信がないときは、同じような能力や状況、目的の人の行動をしっかり観察することで、この自己肯定感を高めることができます。

(3)周囲の人から励ましやサポートを受ける(言語的説得)

 “言語的説得”とは、ほかの人から褒められたり認められたりする体験のことです。例えば自分に自信がなく、できるかどうか分からない、不安なときに、周りの人から「大丈夫、できるよ」と言ってもらえると、気持ちが軽くなったり、「できるかもしれない」と思えたりするということです。

 しかもこの言語的説得は、自分で自分に「できる、大丈夫」と言い聞かせることでも効果があります。他人から言われる場合は、専門家や、上司などから評価されるとより効果が大きいと言わわれています。

 ですから、部下や後輩がいる方は、そういった方の自己効力感を高めるために、積極的に励ましやサポートをしていくと、会社全体の利益にもつながってくると思います。また、緊張場面では、自己暗示的に「自分ならできる」と自分で自分に言い聞かせるようにするのもいいですね。

(4)感動体験などの生理的反応を得る(情緒的覚醒)

 “情緒的覚醒”とは、簡単に言うと気分の高揚のことです。例えば何かをしているときに楽しい、面白いといった感情を持つと、「これはできるかもしれない」と思うことはありませんか? また、リラックスしているときに「これはできる」と思うことも、この情緒的覚醒にあてはまります。

 例えば音楽等でほどよい高揚感を持ったり、前向きでリラックスした状態になったりできれば、「これはできる」という感覚を持つことができますし、普段以上の力を発揮することもできるかもしれません。ただし、この情緒的覚醒は一時的なものですので、これにばかり頼るのはあまりおすすめはできません。ほかの方法とも組み合わせていきましょう。

 以上、「個人的達成」「代理学習」「言語的説得」「情緒的覚醒」という4つの方法を見てきました。自分に自信を持つというのはなかなか難しいことですが、「これはできる・できそうだ」という感覚を持つことを意識すると、少し印象が変わってくるかわってくるかもしれませんよ。自己効力感を高める4つの方法、ぜひ試してみてください。

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