第15回 クルマというシチュエーションで考える「Apple Watch」“ウェアラブル”の今

AppleがApple Watch用のアプリ開発キット、WatchKitをリリースして以来、さまざまなApple Watch用アプリのデモが公開されている。そうしたものから、Apple Watchを利用するシチュエーションがいろいろと想像できる。

» 2015年02月10日 11時15分 公開
[ITmedia]
Tesla App on Apple Watch

 Appleのメディアイベントが2月24日に開催されるのかどうかに注目が集まっている。新型「MacBook Air」と「Apple Watch」がテーマとなることが予測されるからだ。

 Apple Watchについては、そのデザインやモデルなどが9月9日のiPhone発表イベントで披露され、11月に公開された「WatchKit」と呼ばれる開発者キットでどのような動作をするのかが明らかになってきた。販売については現在のところ、「349ドルから」という価格と、「4月に出荷」という情報が示されただけだ。

 もしも2月24日のイベントが開催され、Apple Watchに関して言及がなされる場合、発売日、予約開始日、そして販売方法、各エディションやバンドの価格なども明らかになる可能性が高い。詳しい話はもう少し待つ必要がありそうだ。

 こうした中、一部のVIPアプリ開発者には2月中旬までにApple Watchへの対応を行うよう、Appleから通知があったという報道もあった。イベント開催時にアプリが対応している環境を作り出すための準備としては充分と言えるだろう。

もしもTesla向けのApple Watchアプリがリリースされたら?

 Apple Watchがどのように日々の生活に役立つのか。こればかりは装着して数日過ごすまでは想像の域を出ないが、新たな使い方を示す役割はiPhoneやiPadと同様、開発者が担う。

 ウクライナのデベロッパーELEKSは、Tesla向けのApple Watchアプリを作ったらこうなる、というアプリのイメージを開発し、その経緯と動作風景をYouTubeに掲載している

ELEKSが公開した、Teslaのクルマに対応したApple Watchアプリを作ったらどんな感じになるのか、というデモ(非公式)

 Tesla Motorsは、PayPalを立ち上げたことで知られるイーロン・マスク(Elon Musk)氏が投資した電気自動車のスタートアップで、現在のModel Sからは独自のシャシー・ボディとモーターの組み合わせによるクルマ作りに着手している。インターネットに接続されることが前提となっており、既存のクルマ作りの概念にとらわれない先進性とクリーンエネルギーの観点から、人気を博している。

 このネットにつながったクルマであるTeslaには、すでにスマートフォン向けのアプリがあり、鍵の解錠、ライトやクラクションの操作、室温の確認、充電状況と航続距離の確認、窓・ルーフの開閉、エアコンの調整などを遠隔操作することができる。また、GPSでクルマの位置を確認することも可能だ。

 Eleksはこれらのアプリの機能を踏まえ、Apple WatchからTeslaをコントロールするためのアプリをデモとして開発したのだ。6つの画面を用意し、前述の機能を踏襲するアプリとして完成させている。

Tesla App on Apple Watch ELEKSのWebサイトに公開されている、TeslaアプリをApple Watchで実現するとしたらどうなるかを作り込んだイメージ

作った感想は「開発者の予想に到達していない」

 Eleksはビデオに加えて、前述のページでより詳細な開発の経緯についてもコメントしている。

 この中で、現在公開されている開発キットでは、すべての機能を備えたApple Watch向けのアプリを開発することは非常に難しいとしている。また、2014年9月9日のスペシャルイベントで発表したApple Watchを活用したビジネスアイディアを実現することも、現段階ではできないとしている。

 一方、MacRumorsが掲出したタスク管理アプリ「Todoist」のApple Watch向けのデモでは、おおよその機能を実装できているようにも見える。アプリによって、あるいはやることの複雑さによって、初期のApple Watch向けのWatchKitでできる範囲が異なっている様子が見受けられる。

Todoistというタスク管理用アプリのApple Watch上での動作デモ

 作るのが難しかったというTesla向けのApple Watchアプリのデモは、現段階において、ウェアラブルデバイスから自動車の状況を知り、またコントロールする点においては、十分な役割を果たしてくれるようにも見える。

 例えば、米国ではショッピングモールなどで巨大な駐車場に車を止めることも少なくないが、寒くて風が強い冬場にスマートフォンを取り出さなくても、時計で自分の位置とクルマの位置を示す地図が表示されれば、最短距離でクルマまでたどりつける。

 クルマに着くまでに車内を暖房で暖めておき、冷えているカギに触らず解錠できれば、十分じゃないだろうか。

CarPlayとの連携にも注目

 Apple Watchと自動車を結び付ける技術として、もう1つ注目しているのが「CarPlay」だ。2014年3月に披露されたこの機能は、iPhoneをカーナビや自動車のシステムに接続することで、iPhoneを、自動車のタッチディスプレイや車備え付けのインタフェース、音声によって操作する事ができる機能だ。

 利用できるアプリも限られ、通話や音声入力に限定したSMS、ナビゲーション、音楽再生、一部の音楽ストリーミングアプリなど、運転中に視線を取られない工夫がなされている。

 CarPlayそのものは、iPhoneを接続した車載デバイスのための規格だが、iPhoneと連携するApple Watchが何らかの操作やフィードバックを担うようになる発展もあり得るだろう。また、Teslaのように車載機が必ずインターネットに接続されている車種の場合は、CarPlayの活用に関わらず、Apple Watchとの連携が可能になる。

 あるいは、Apple WatchとCarPlayをより密接に連携させる方法を、Apple自身が考えてくれれば、クルマとスマートウォッチの関係性はもう少しすっきりするのではないだろうか。

シチュエーションで考える

 例えば、ハンドルを握っている手元にApple Watchがあり、通話を行ったり、ナビゲーションで曲がる直前にTapTic Engineによるフィードバックを行ってくれても良いかもしれない。

 また、運転者の眠気を心拍間隔の変動(心拍ゆらぎ)から感知することができるとされているが、例えばApple Watchで運転中、心拍ゆらぎを検知して運転者が眠くなってきたことを感知したら通知する、といった安全対策にも活用できるのではないだろうか。

 ウェアラブルデバイスは汎用品としての存在が必要だが、一方で特別なシチュエーションでの優れた活用もまた重要な魅力となる。より多くの人が、特別な場面での便利さに触れられるよう、Appleもアプリをよりたくさん集めていく必要があるだろう。

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