コラム
» 2015年09月22日 06時00分 UPDATE

運動前のストレッチで「逆にケガをしやすくなる」?

運動前のストレッチはけが予防に欠かせないもの。しかし、その常識は間違っており、むしろ逆効果であるという説があるのです。

[石原亜香利,ITmedia]

 「運動をする前はしっかり準備運動とストレッチをしないとケガするぞ」学生時代、体育の教師から散々聞いたこの呼びかけ。きっと大人になった今でも、運動をする前にはこの言葉がよみがえり、屈伸や手足の曲げ伸ばし、アキレスけんストレッチなどを欠かさず行う習慣のある人は多いでしょう。しかし、それは迷信だという説が、近年主張されています。

ts_ish0922.jpg 運動前のストレッチで「逆にケガをしやすくなる」?

運動前のストレッチは効果なし?

 運動前にストレッチをすることは、ケガがしにくくなるだけでなく、鈍っていた体が動きやすくなる気がするので、決して悪いことではないように思えます。しかし、本来、運動前にやるべきなのは、ウォーミングアップ。文字通り、体温を上昇させて心拍数を上げ、激しい運動の肩慣らしをすることです。

 しかし、ストレッチは、身体の一部をじっと伸ばすだけで、心拍数も体温の上昇もほとんど見られません。むしろ、海外では10年ほど前から「運動前にストレッチを行うと、パフォーマンスを下げケガにつながる」という研究報告があり、今では常識レベルだそうなのです。

「ダメなストレッチ」と「良いストレッチ」がある!

 ではストレッチが完全にNGかといえば、そうではないようです。良くないのは、じっくり筋肉の筋を伸ばすような静的ストレッチ。特に強い伸縮を行う静的ストレッチの場合、関節の可動域が低下するため、かえってその部位の動きを妨げてしまうという事態に。ハードな運動の前には、パフォーマンスを下げる大きな要因になってしまうといわれています。実際、静的ストレッチを行った後、短距離走や垂直跳びの記録が著しく落ちたという研究報告もあるそうです。

 単に柔軟性を高めたい目的でやるだけなら良いですが、運動前の準備運動として、静的ストレッチをパフォーマンス向上のために行うのは避けたほうが良いでしょう。

運動前の正しい準備とは?

 では、パフォーマンスを高めたい運動の前には、どのような準備体操を行えばいいのでしょうか? 簡単にいえば動的ストレッチ、いわゆる軽いランニングやそのスポーツで行う一部の動作などの、動きのある“ウォーミングアップ”が最適だといわれています。また、運動後も同じようにウォーミングアップを行うことで、よりリラックスできる効果も報告されています。

 運動前にはまずストレッチ……そんな“常識”は、今や変わりつつあるようです。

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