「継続する2%」で居続けるために――パーティークリエイター・アフロマンスさん&フジモトタイチさん(4/4 ページ)

» 2015年08月15日 06時00分 公開
[中山順司ITmedia]
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――イベントもダイエットも、継続が難しいですよね? 困難に直面したとき、どう乗り越えていますか?

アフロマンス:辞めようかと思ったことは何度かあります。エンターテイメントって楽しいけど、なくても構わないたぐいのモノですよね。世の中にぜったい必要じゃないのなら、続ける意味があるのかな? って。でも、続けてきたから今があります。たくさん失敗もしたし、成功もしたことが自分の血肉になっています。

 あるイベントに参加した人から「救われました!」ってお礼をいわれて吹っ切れました。その人は、プライベートでつらい時期だったそうですが、ストレスが発散できて嫌なことを忘れることができたって喜んでくれたんです。今思うと、それが転機だったかな。

――どんな転機だったんですか?

アフロマンス:「生け簀(いけす)の話」ってご存じですか? 四角い生け簀で魚を養殖すると、水の流れが停滞する四隅に泳ごうとしない魚が集まるんです。養殖業者はどんどん泳がせて成長させたいので、魚にサボられては困る。そこで生け簀を丸いものにして、サボる余地を撤去したら、なんと魚が全部死んでしまった、という。

――その心は……?

 「生け簀の四隅って不要なもののようで、実は魚にとって大切な休憩ポイントだった」ってことです。

 自分がやっているイベントやパーティ運営の仕事って、人間にとっての四隅を作る仕事なのかなって思うようになったんです。そこからですね、「自分のやっていることに意味があるんだ、続けていいんだ」って確信をつかめたのは。いろんな経験を積んで苦しかった時期に聞いた話だったので、すごく腑に落ちました。本当の学びは、経験からしか得られないんだなあ、と。

フジモト:芸術を楽しめるのは人間だけですし、人間を人間たらしめているのは、アートだったりエンターテイメントなんじゃないですかね。効率化が進むのは便利だけどそれだけじゃ潤いがないというか、ムダも必要なんでしょう。人の精神面のサポートをすることがわれわれの使命だって気付けたのがデカいです。

猪突猛進型のフジモトさん(右)と、実は一歩引いて全体を見ていることが多いというアフロマンスさん(左)。お互いがお互いをうまく補い合っているという

「残りの2%」で居続けるために

――プライベートを削って、多大なエネルギーを費やして、すごい情熱じゃないですか?

アフロマンス:「なんでこんなことやってんだろ?」って我に返ることはありますよ。「DJができるのは若いうちだけでしょ? 10年後どうするの?」って人からはいわれるんです。DJに限らないでしょうが、こういうエンタメ系活動って年齢を重ねるごとにやめていくものでして、典型的なのが「恋人」「就職」「結婚」「出産」といったライフイベント。この4つの節目で98%はやめていき、残りの2%だけが続けていく。

 個人の意志や欲求を超越した“何か”を持っていないと、「まあ、もういいか」ってなってしまう。自分が楽しいって理由だけでは継続できないんですね。単純に好きって感情以外の“何か”を見つけたから、僕は2%の一人で居続けられているって思っています。

――フジモトさんはホームレスの経験があるんですよね?

フジモト:ええ、僕はイギリスで300万円を軍資金にして、独自サービスを立ち上げて起業したんですが、これが全然流行らなかった。イベントを企画したのに集客ゼロだったこともありました。で、お金が尽きてジ・エンド。住む場所を失ってホームレスになった経験があります。

 どん底にたたき落されて「もうダメだ、おしまいだ」って思いかけたんですけど、どん底が意外に大したことなかった。なんとか生きていけるもんだなと(笑)。その後、帰国してアフロマンスさんや天谷さん(日本エクストリーム出社協会)との出会いがあって、自分なりにもがいているうちに「早朝フェス」を開催して、1回めで400人集客できて、手応えをつかみました。

 なんだか、健康の話とは全然懸け離れてしまいましたね(笑)。

――お会いするまでは、お二人のことを“毎晩パーティで遊びまわって、「ウェーイ、人生楽勝〜」な方々かも”って思っていたんですが、深く反省しております……。

アフロマンス&フジモト:特異な経験は多めに積んできましたが、至ってまともな人間ですよ(笑)!

――私も“好き”を超えた何かを見つけて、2%の継続する側の人間になれるよう精進します!ありがとうございました!

中山順司(なかやま じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ちょっぴり健康が気になって、自転車でも始めようかなとお考えの方が、「こんなコンテンツが読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。


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